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進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
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問題の構造をぶっ壊す

2013-07-27 13:37:15 | AKB48_軽ネタ
※このエントリは、小泉純一郎を礼賛するためのものでも、政治分析をするものでもなく、政治的手法と組織のダイナミクスについて表現する小話です。





2001年、自民党の小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」と叫び、「小泉旋風」と呼ばれる圧倒的な国民的な支持を背景に自民党総裁戦に勝ち、内閣総理大臣になった。

小泉にとって3度目の総裁選、政治生命を賭けた大勝負だった。

当初の本命は、自民党最大派閥橋本派のドン橋本龍太郎だったが、小泉は主婦層から人気のあった田中真紀子の協力を得ると、マスメディアを巻き込んでド派手な選挙戦を展開した。

小泉が街頭演説をすると数万の聴衆が集まり、街は埋め尽くされた。


当時の日本では、多くの人々が「(今の政治体制の下では)総理大臣なんて誰がやっても同じ」と、政治を諦めていた。

政治的無関心は、利権団体や派閥に利することになるから、国民が政治に対して無関心になればなるほど、よりいっそう無関心に拍車がかかる。

そんな負の循環が、日本全体を覆う閉塞感に繋がっていたのだ。

誰もが「このままではいけない」と感じながら、関心を失っていった。


みな理解していた。

問題は、どのような政策も、今の(政治体制の)構造の範囲内でしか行うことはできないと。

しかも、その長年の労力と知恵により構築された構造は複雑かつ頑強であり、革命でも起こさない限り壊すことはできないと思っていた。

先進国で革命の起きる確率を考えたら、一部の過激派を除けば、ほとんどの国民は諦める他なかった。

しかし、小泉が攻めたのは、まさにその一点であった。

「自民党をぶっ壊す!」「私の政策を批判する者はすべて抵抗勢力!」と問題の構造を破壊すると主張したのだ。


誰もが政治的無関心になっていた日本で、みなが政治家の言葉を一言も聞き漏らすまいと耳を傾けた。

有り得ない光景だった。

そして、皆が時代の目撃者になった。

政治的無関心だった国民が目撃者になり、語り部になった。

政治に対して国民的関心が集まることで、利益団体の圧力は相対的に低下し、派閥は瓦解した。

まさに、それは奇跡だった。

いや、奇跡と呼んでしまうこと自体が、政治的無関心の表出なのかもしれない。


小泉の政治手法は、後に「小泉劇場」と揶揄され、知識人からは批判の的であったが、それは拙速な結論だろう。

小泉の支持の源泉は、政治的無関心の問題の本質を突いていたからだ。

小泉純一郎が内閣総理大臣に就任した直後の世論調査の結果は、90%に近い驚愕の支持率となった。

先進国の民主主義国家で、90%という支持率がありえるのだろうか。

その後、支持率低下や紆余差曲がありながらも、小泉の総理在任期間は1980日で戦後歴代第3位、最近の総理大臣の在任期間を考えれば、この1980日という数字が異常だということがわかるだろう。