一幸

青い眼をした、かわいいかわいいカレシが親に挨拶にきた。

タイミングを計りかねていた彼に
朝ご飯の豚汁の湯気が舞うあたりで

父が

「このたびは娘と結婚してくれてありがとうございます」と頭を下げると

「要らないんだったら、お嬢さんをください」って言うって宣言してたカレシは

「アキ男。さんを一生幸せにします。
　お父さんとお母さんを一生大切にします。」と

ひと言ひと言をしっかりとした日本語で発音した。

目の前で起こってたことは相変わらず夢の中のようで

「一生」という耳慣れない言葉が頭の中でディンドンとコダマした。

ついでに参考までに試着だけしようと思った銀座の一店目のお店で
結婚指輪を衝動買い。