代替

明後日には遠くに行ってしまう、
青い眼をした、かわいいかわいいカレシと

時間を惜しんで新宿デート。

「今日ね、ホテルの同じ部屋のNZ人の男の子に
　東京にいるうちに、彼女を捨ててくの？って聞かれたんだけど、ね。」

とカレシ。

「捨ててくの？」と慌ててきくと

「捨ててかないよ。

　こんなに気が合う彼女を見つけるのって
　僕にはすごい大変だったからって答えたんだ。

　いっしょにオンラインゲームしてくれるしねー」とカレシ。

６月に千葉の千倉にいっしょに釣りに行ったとき

岩場からそろそろ帰ろうかってときになって
カレシが振りかえった瞬間に

あたしが持ってた竿に
カレシが頭にひっかけてたお気に入りのサングラスがぶつかって

岩と岩の間に落ちてしまったことがあって
もう何年も使ってたサングラスだったから

二人して途方に暮れて、結局諦めたんだった。

今回の来日でカレシは新しいサングラスを買ってきてたけど

あたしも前のサングラスがすごく気に入ってたから

「あんまりかわいくないね」って言ったら

「そうだよね。

　でもこんなに顔の輪郭に合うサングラスを見つけるのって
　僕にはすごい大変だったからいいんだ」

とカレシ。

今年はあたしにとって本厄の一年だけど

カレシの頭から振り落とされたサングラスが
あたしの身代わりになってくれたってことで

あたしは離れてもずっと
カレシの日本をおもしろく見せるサングラスでいたいと必死に思う。