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心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

国破山河在

2010-03-24 | 漢詩
                              (はがき)

かの有名な杜甫の詩「春望」の最初の五句。
國破れて山河あり。

城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥驚心 烽火連三月 
家書低萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪 と続く。

これなんて書いてあるの? と先日Kちゃんに聞かれて。
書を習っていない人にしたら、読めないよ・・と。
だって普通学校では、行書なんて教えてくれないもの・・と。

れれ?そうかなぁ。。
ふむ。・・そうだけど。 そうなんだ・・となり。。

よく私の師はこんなお話をされておられて。

書家は文化や教育のレベルを落としてはいけないのだ。
一般の人が読めないからと言って、読める文字を書いてばかりいたら
書の歴史は終わってしまう。

読めないなら勉強すればいいのであって、
読めないからだめだというのでは、文化を捨てるに等しい・・と。

かくいう私も行書や草書・・その学ぶべきことの多さに愕然とするばかりだけど
少なくとも書を学ぶ者の一人としては、読めないことを恥かしいと思うような
気持ちだけは忘れずにいたいな・・と。。

それにしても、書の道も果て無き道よのぉ。。。
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獨坐大雄峯と書くには

2010-02-24 | 漢詩
                            (大判はがき)

獨坐大雄峰 (どくざだいゆうほう)
大雄峯に向かい一人座禅す。

書では割とよく書かれる文言。碧眼録より。

羊毛でじっくり粘って書いたつもりだけど、
ことばの意味合いからすると、伸びやかさも足りない。。

やっぱりこのことばは、せめて半切位の大きさに
で~んと広がる中国の山並みのようなスケールで表現せねば。。

イメージはこんな感じ(↓中国・黄山)



あれは・・もう20年近く前、私の師が団長を務められた書の団体での
中国ツアーに母と一緒に参加して、この断崖絶壁のような 黄山 にも登った。

途中、誰が運んで作ったのかと信じられないような長く傾斜のある石段が続き、
年配者は途中から、強力(ごうりき)と呼ばれる青年二人が背負う
時代劇に出てくるような籠に揺られたり、おぶってもらって登る人もいたり。

運悪く頂上に着く手前で、雨は降り出すし寒いし、霧で何も見えなくなるし。
それでも、この写真のような景色の感動と、登りきった達成感もあって
辛かったという印象は残っていなくて 

黄山には仙人が住むと言われているそうだけど、
訪れる人たちを、仙人がどこかで見守っていてくれるのでせう。

う~ん。久々に黄山の景色を見ていたら、イメージ沸いてきた。
Kさん、そういえば蘭秀会展にこのことば選ばれたような 

「獨坐大雄峯」を書くには、まずはこんな景色を眺めて、感じるなり~。
でもって、私も次回はもっと堂々と悠々と雄々と・・書いてみたいでありんす 

黄山の景色はこちらのブログで拝見できます→中国ぶらぶらある記
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雪を掃いて茶を烹(に)れば

2010-02-01 | 漢詩
                             「掃雪烹茶」 (はがき)

臨風弄笛      風に臨みて笛を弄べば
欄干上桂影一輪  欄干上に桂影一輪あり
掃雪烹茶      雪を掃いて茶を烹(に)れば
籬落邊梅花數點  籬落辺に梅花数点あり

の一節。
静かな雪景色と、漂うお茶の湯気、梅の花の姿と香りを思わせる
この詩に流れるゆったりとした時間に、しばし心を預けてみるなり 


今の時代は、温暖化の影響もあってか、季節感が薄れているというか。
そして季節の行事も、だんだん忘れられていく存在のような。

企業が力を入れる行事は、なんとか続いているものもあるけどね。
たとえばバレンタイン、クリスマス、ハロウィンとか。
あれ?どれも外国の文化であるような・・

季節の移ろい、風の動き、木々の芽吹きに気づくこともなく
情報過多の中にいて、全てを知っているような錯覚に囚われていることに
気づかずにいないだろうか、なぞとふと 

願わくば、もう少し日本の文化を大事にできたらと、この詩を読んで。

今年は、忙しがっておざなりにしているひとつひとつの行事を
私なりに大事にできたらなと思っているでありんす 

今日の詩にちなんで、2月28日まで開催中の小田原梅まつり(曽我梅林)のご案内。
家からは割と近いのに行ったことがないので、今年は出かけてみようかなと。

詳細はこちらからどうぞ→ 小田原梅まつり
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思いと作品は・・

2010-01-29 | 漢詩
                         王維の詩(24cm×30cm)

結實紅且緑 実を結んで紅(こう)にして且つ(かつ)緑(りょく)
復如花更開 復(また)花の更に開くが如し
山中儻留客 山中儻し(もし)客(かく)を留めれば(とどめれば) 
置此芙蓉杯 此の芙蓉の杯を置かん

紅と緑とりどりに実を結んで、また花が咲いたようだ。
この山中にもしお客をお留めするなら、
さしずめこの芙蓉の花の杯を出さねばなるまい。


殿村藍田(とのむららんでん)という書家をご存じでせうか。
独自の境地のかな作品をはじめ、墨絵とともにかなのような連綿の漢詩を書かれた
叙情的な作品も印象深く 

今までは、あまり作品を拝見する機会もなかったのだけれど。
自由の身?となった今は不思議なもので、いいなぁと思える作家さんが増えて
そのお一人が、殿村藍田氏。

一点一画書かれた呼吸を辿りながら見ていると、雄大な景色が浮かんでくるような。
綿密で繊細でもありながら、大陸的な詩の心情、情景を感じさせるというか。

なにがそんな風に感じさせるのか・・・
今の私ではまだ説明ができそうにないけれど、以前はそんな風に感じることも、
作品に向き合うことすらしてこなかったなぁ・・と 

素直な気持ちで殿村氏の作品集を拝見していたら、私も書いてみたくなって。

でも。ただ文字を並べればいいってものではないわけでして・・
はぁ・・書の道も、果てなき旅よのぉ・・・
昨日は父に、ブログで偉そうに言ってる割に作品がなぁ・・とか言われ・・
は・・はい。。 おそれいりやのきしもじん。。

思いと作品は比例とは・・なかなかいかないものでありんす
しょうじんしょうじん。。

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文字の奥行き

2010-01-28 | 漢詩
                               (半紙)

私が住んでいるあたりでは、冬でもほとんど雪が降らなくて。
積もった雪はもう何年前のことかな・・。

銀世界に住んでおられる方からしたら
それもまたよしと思われるかもしれないけれど
なんだか季節の味をひとつ、食べ損ねたようでもあり
心に広がる世界も何か足りないような気がしてくる 

でもブログを始めて、全国各地の今の景色やらも知ることができて。
そう、昨日も寒い地域の方からのコメントを頂いたりして
マイナス気温や積もる雪景色を想像したり 

そしてこんなことばからも。

「飛雪千里」

舞い降りる雪の景色が遠く千里まで続いている・・その光景が
しんしんとした空気感とともに浮かんでくるような 

文字の持つ意味、文字が発する力は
時として想像力に奥行きを与えてくれるものでありんす 

雪深い地域にお住まいの皆さま 
改めまして・・寒中お見舞い申し上げます。




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寅年にあやかって

2010-01-04 | 漢詩
                            (はがき)

専心一意 せんしんいちい

一つのことに専念して取り組むこと。

今日から仕事始めの方も多いのでは。 ・・私も。
あっという間のお正月休み。。

年頭に当たり、珍しく今年のあれこれ計画を立てようなんて思っていたのに
なんか落ちつかないまま日常が始まっちゃう。。

う~ん。。たまには、一人になる時間も必要だなって、ふと。

どこでもいい、お気に入りの落ちつける場所を見つけて
頭ん中を整理して、今年は新しいこと始めたいなぁ。。 

ずっとずっと、いつか・・って横着して、後回しにして
・・って言うか逃げてばかりだったから。
それは悪循環で、後悔と焦燥とを繰り返すだけで、得るものは何もなく

寅年にあやかって、寅のように堂々と
逃げずに恐れずに、専心一意に一歩一歩と生きたいものでありんす 

それぞれに、年の初めに思いを馳せて・・
よい年となりますように 



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早くも年の瀬

2009-12-27 | 漢詩
                         (半紙1/2)

嶺上千峰秀 れいじょうせんぽうひいで
江邊細草春 こうへんさいそうのはる
今逢浣紗石 いまかんしゃのいしにあうも
不見浣紗人 かんしゃのひとをみず      ~王軒の詩


まだ春には遠いけど、来年の蘭秀会展の参考作品用にと
墨場必携の頁をめくりながら、あれこれ草稿の草稿を始めたとこで。
こうしてみると、邊と見は似てるし、うん・・じぇんじぇんダメある
ま、これからこれから・・

例年4月の開催が、来年は会場の抽選にもれて5月の開催に。
なので、スタートがちょっと遅く、皆さま新年から作品つくりに入る予定。

・・・とその前に、早くも年の瀬。今年も残り5日ですねぇ。
師走はやっぱりドタバタと、体力気力使い果たし気味&ブログの更新も遅れ気味。
年末のゴミ収集に間に合うよう、今日はこれから大掃除に励みます

こういう時、猫はいいなぁって、猫にむかってぼやくのでありんす


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心が楽でいられる方法は

2009-12-26 | 漢詩
                          (はがき)

「澹如」 たんじょ 
さっぱりとして執着のないこと。

この前、何か悶々としてそうだった某さんと話をしていて。

「・・・そういうとこ、真面目なんだよね・・」と何気なく言ったら
「『真面目なんだよね』っていう言葉の奥には、人を蔑む意味を含んでいる」って。
褒めようがなくて、そう言ってるところがあるんだと。

ふむ。そういう風に感じる人もいるんだ・・と 

もっと楽にできたらいいのに・・と、心の中で小さくため息。。

ま、でもそれも個性なわけで。
それぞれに、自分が楽でいられる方法を探すしかないわけで。

私には、禅の世界がしっくりきたわけで。
まだまだ知らない奥深い世界だけど、知れば知るほどに心地よく 

悩んでも答えは見つからないことも多く、逆に悩みを増やすこともあったり。
ならば、先のことをあれこれ心配するより、目の前のことを受け入れつつ、
ただ前へ前へと歩いて行けたら、いつかどこかへ辿り着けるような

悩みを感じたときは、こんなことばも思い出すなり。
「澹如」 さっぱりとして執着のないこと。


年賀状やら仕事の追い込みやら忘年会やら・・ちょいと疲労MAX。。
でも今日も夕方から、1年半振りに近くに来る友人を囲む会なり 

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釣れても釣れなくても

2009-12-22 | 漢詩
                          (はがき)

一竿風月 いっかんのふうげつ  陸游の詩
一本の釣竿を友として風月を楽しむこと。


釣りというのは気の長い人よりも、意外とせっかちな人の方が釣れるとか。
気が長い人だと、魚が来なくてもいつまでたってもじ~っと待ってるからなんだって。

釣りは、自分と1匹の魚との頭脳戦 
釣れた瞬間の手ごたえは、その一瞬で全てを忘れられるという人もいるそうで。
なるほど~。

でもこの詩の釣り人は、どっちかって言うと気の長い人のような。
釣れなくてもよし、釣れれば尚よし・・みたいな 

何となく気ぜわしくなってきた師走の候ゆえ・・こんな詩をお届け 
そしてこの詩のイメージにピッタリな今日の1曲はJoe Sampleの♪ Memories 


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道は近きにあり

2009-12-18 | 漢詩
                            (はがき)


「道在邇」 道は近きにあり。


たぶん。
どんな世界で活躍している人も、何もないところからスタートしているわけで。
でもって、何事も上を見たらキリがないし、完成なんてなく。。

そう思うと、一体何から手をつけたらいいのかわからなくなったり 

たとえば書も、あれもこれも勉強したいけど、時間は足りないし
一生かかっても無理だぁ・・ってため息ついたり、
逸る(はやる)ばかりでどれも中途半端になったり。

でもね、あるじゃないですか・・「好きこそものの上手なれ」ってことば。

だからね、迷ったときは、好きなことをただただ、ひたすら繰り返すなり~。

人からみたらくだらないって思うことでも
その道では誰にも負けないってものを掴むのは
「好き」って気持ちをどこまで信じて、やり通せるかってことのような。

すごいなぁ・・ って、自分とは違う人と思って諦めないで
まずは目の前のできることから始めるなり~。

道は遠きにあらず、近きにあり、とな 


・・って人には言いつつ、腰が重い私だけど 
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