比叡山が初冬の空にくっきりと浮き立ち、
すっかり葉を落とした木々の間に紅一点のモミジが
寒々しい景色を彩っている。
初冬の柔らかい日差しの中、
年配のご夫婦がゆっくりとお散歩。
つかず離れずで、ときどき後ろのおばあさんが
腰を延ばしている間、前を歩くおじいさんは
立ち止まっておばあさんを振り返る。
そしてまた歩き始める。
微笑ましくなる風景。
振り返って我が身、
11日間の病院生活で落ちた脚力の挽回につとめる毎日。
歩いては休み、歩いては休みの情けない足取りで
川辺りを歩く。
ヨロヨロ ヨロヨロ・・・
こんなはずではなかった、
こんな足取りではなかった、
これではダメだ、元に戻そうと毎日歩いた。
足元に気をとられて見えてなかったものが
やっと見えるようになった。
狂い咲きのリラ。
花を咲かせているビワ。
あら、ユリカモメがやっとやって来た。
群れから離れて佇むコサギ。
ある朝、ユキムシを見つけた。
白い綿をお腹にくっつけて地に降りた。
あわや踏んづけそうになって、あわてて引き下がった。
この時期華やかな花、ユリオプスデイジー。
やっと最近、フツウに歩けるようになって
うれしい毎日です。
歳をとると回復が遅いですね。