<がん細胞を狙い打つ。『がん免疫ワクチン』開発>
がんの『4大療法』時代が、幕を開けようとしています。
現在、がんの治療には、『手術』『薬物療法(抗ガン剤)』『放射線知療』の3つがありますが、これらは大いに疑問視され始めています。
(週刊現代が、シリーズ第17弾まで、疑問を『連載』しています)
ということで、これら既存の治療法も、大きな問題を抱えているわけです…。
早期発見の固形がんであれば、摘出手術を行いますが、肉眼で見えない少数のがん細胞が残っていると、再び、がんとして成長を始め、再発・転移となります。
血液がんのように、全身に散らばっているがんに対しては、そもそも手術はできません。
薬物療法(抗ガン剤)や放射線治療には、抗がん剤や放射線が、がん細胞だけでなく、正常細胞も攻撃してしまうため、副作用が生じます。
がん細胞だけを狙い撃つ、副作用の少ない治療法はないのかということで、注目されているのが、ワクチンを利用した『免疫療法』であります。
免疫療法は、副作用が少ないため、末期がんや転移がんなど、他の療法が、施せない患者に対する治療も可能になります。
がん抗原(がん細胞に特異の物質)の解明が進み、高い免疫作用を誘導する抗原が発見され、その効果を科学的にエビデンス(根拠)で、検証できるようになりました。
加えて、これまでは、進行がん患者の腫瘍縮小効果を見るのが中心だったのが、「むしろ、初期がんや術後の再発予防に効果があるのではないか?」という、新たな考え方が、提起され始めました。
『免疫』は、外から来た異物を見つけ出し、攻撃する体の防御システムですが、『敵』とみなされ、攻撃対象となる物質を『抗原』といいます。
ところが、がん抗原は、厄介な代物で、がん細胞は、自分の細胞の1部が変異してできるため、正常細胞とよく似た『顔つき』をしているため、免疫のチェックをすり抜けて増殖してしまいます。
がんワクチンは、正常細胞にはなく、がん細胞にだけある、がん抗原を投与することで、がんだけを標的にした、高い免疫作用を誘導しようというものであります。
ワクチンとして体の中に入った、がん抗原を貪食細胞(抗原提示細胞)が食べ、細胞の表面に、がん抗原を提示し、その抗原を『敵』と認識した『キラーT細胞』が、同じ抗原を持つ、がん細胞を攻撃します。
『ヘルパーT細胞』は、全身に散らばって、がん細胞の情報を伝達し、キラーT細胞に指示し、がん抗原に対する抗体を作らせます。
さらに、キラーT細胞によって、殺されたがん抗原は、貪食細胞に食べられると、がんワクチンの抗原と同じ働きをし、キラーT細胞とヘルパーT細胞を活性化します。
このようにして、がん抗原を攻撃する、好循環の仕組みが作られるのです。
欧米の製薬会社が手掛ける、ペプチドワクチンは、科学的に合成されたペプチドを抗原として接種します。
そのため、製造コストが低く抑えられ、大量生産できますが、ヘルパーT細胞の活性化に弱い傾向があります。
もう1つの、たんぱく質ワクチンは、ヘルパーT細胞をよく活性化させる傾向があり、単1のヘルパーT細胞と比べ、対象患者が、7倍に増えるのですが、一方、キラーT細胞の活性化が弱い傾向があるため、それを補う工夫が必要になります…。
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