575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

朗読会   麗

2019年10月24日 | Weblog
気持ちのよい秋晴れの昨日、今年も郁子さんと「つくしの会」の朗読を聞きに行きました。
女性ばかりの朗読会なので、夫婦間のくすっと笑えるエッセイや、亡き夫をしのぶ作品など心にしみる作品が多く、毎回どんな本に出会えるかも楽しみのひとつです。去年亡くなったさくらももこさんの作品も朗読して下さって懐かしい一時でした。


今回一番心に残った作品は「おはぎと兵隊」。久住昌之さんのエッセイ。思わず涙がこぼれました。
それは戦時中のおはぎにまつわる母の思い出話です。

作者のお母さんが、予科練に入った兄の休日に、水戸偕楽園までおはぎを持って行くお話。
山梨から朝一番の満員の汽車に乗り、20個も手作りのおはぎを持って、会えるかどうかもわからないのに父と出かけて行きます。目深に帽子をかぶった多くの兵隊さんの中から兄を見つけた喜び!
おいしそうに何個もおはぎをほおばる7つボタンの兄。「このあとどこに行くの?」と聞いても答えられません。
そして、別れ際まで兄はおはぎを食べ続けます。別れた後、ひっつかないようにとおはぎにはり付けてあった薄紙がひらひらと舞い、その薄紙に、兵隊さんの面影を見るというようななんとも切ないお話です。(記憶を元に書いているので詳しいことは、PARCO出版のアンソロジー 「おやつ」という本に収録されています)


この「おはぎと兵隊」を書いた作家、久住さんはなんとあの「孤独のグルメ」の原作者でした。食べ物エッセイを多く書いているのでまた読んでみたいと思います。
それにしても朗読という声だけの発表会なのに、映像がまざまざと目に浮かぶのは本当に不思議です。これが「声の力」なのですね。朗読指導をされている鎌田吉三郎さんもとってもお元気で「博士」はご健在でした。

           秋日和平和の味をかみしめる  麗
コメント (1)
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