少し前のことですが、日曜美術館が上村松園を取上げていました。
障子を開けて夕暮れの光の中で、糸を針に通す女性の姿を描いた絵。
母のおかげで日本画一筋に修業を重ねたテクニックもありますが、
興味深かったのは、孫の淳之さんが、語った言葉。
「日常は絵にならない。しかし、この絵は母への思慕があって、
そのココロが、日常の風景を絵に昇華させている」と。
松園が母を亡くしてから描いた絵だそうです。
そう言われれば展覧会で、こうした日常のしぐさが
題材になることは、ほとんどありません。
一瞬を永遠にする。
歌人の岡井隆さんが、日経新聞の「私の履歴書」のタイトルに使っていた言葉です。
上村松園が目指したものと同じものでしょうね。
俳句などでも挽歌というか、母や父の死を詠ったものに
良い句があるのは、そうした思いが伝わってくるからでしょうか。
日常の一瞬を永遠に・・・わずか17文字に。
そんな句は一つでも作れたらイイな・・・