575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蔓紫陽花         草女

2007年07月31日 | Weblog
 飛騨からの帰路、国道に出る前の山中、せせらぎから川霧が昇り美しい風情に車を止めた。霧の中に浮かんでいたのはツルアジサイ。最盛期の花は直径25cmほどあり美しいだけでなく迫力もある。真っ白な大型のアジサイが杉の木の半分くらいを埋めている。
 連れ合いが「どうして杉に紫陽花が咲いているのか?」と問う。名前のように蔓性だからとしか答えようがない。
 ユキノシタ科あじさい属の落葉つる性の樹木。蔓といっても藤や朝顔のように巻きつくのではなく、幹や枝から気根を出して這い登る。大きいものでは10~20mになるという。よく似た植物に同じ科のイワガラミというのがあるが、こちらは装飾花のがく片が一個なので開花の時期には簡単に見分けられる。葉だけの時には葉の切れ込みの多い少ないで見分けられるが、ツタウルシにも似ているのでやたらに触れるとかぶれたりすることがある。
 以前、植物旅行である女性が「旅行で泊まった宿で、部屋に綺麗に紅葉したつる性の枝が活けてあり、帰りに同じ植物があったので、家に持ち帰ったら、ひどくかぶれて医者に通う羽目になった。そういうものを飾るなんて許せない。大変な目にあった。」と憤慨していた。
 多分その紅葉したつる性の植物はツタウルシだったのだ。ウルシの中でも最強の毒性を持ったそんな植物をよく調べもしないで手折る方にも非があるのだ。
 野山を歩く人の中には、気に入った植物があるとよく調べないで、取ったり、実などを食べたりする人がいるがこれは困った事である。
 そういう行為は自然破壊ばかりでなく、自分自身にとっても危険だったり、間違えると死ぬ事もある。
 自然を愛護するという事は、自分自身を愛護することでもあるのだ。

 さて、俳句では、ツルアジサイは「蔓手鞠」として夏の季語として載っている。
 
  大杉の又日を失し蔓手鞠        高浜虚子
  霧雨の晴れては降るやつるでまり    野村泊月
  来し道は渓のどん底つるでまり     大森扶起子
コメント (2)
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