おやじのつぶやき

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111 原爆ドーム(番外編)

2009-07-08 19:53:22 | 歴史・痕跡
 日本、いな世界の遺産は、これにつきます。核兵器廃絶に向かって、世界に働きかける動きの中で、今またその原点として忘れてはならないものでしょう。もう30数年以上前の8月6日。初めて広島を訪れ、原爆ドームを初めて間近に見たときの衝撃は今でも忘れません。
 その頃は、被爆当時、一瞬のうちに命を奪われた住民の氏名や街並みの復元などに取り組みが始まった頃でした。
 先年の春、機会があってまた訪れ、今回はさらに、原爆投下直下の地(島外科病院)や、近所の小学校(国民学校)などの記念館にも出むきました。
 「原爆ドーム」の所在地は、広島県広島市中区大手町1丁目10。原子爆弾投下の目標となった相生橋の東詰にあたり、南には元安川を挟んで広島平和記念公園が広がっています。
 もともとは、「広島県物産陳列館」。1915年(大正4年)4月5日に竣工、同年8月5日に開館。以後、名称など変更がありましたが、戦争が長引く中、1944年3月31日にはその業務を停止し、内務省中国四国土木事務所・広島県地方木材株式会社・日本木材広島支社など、行政機関・統制組合の事務所として使用されるようになりました。
1945(昭和20)年8月6日午前8時15分17秒、アメリカ軍のB-29爆撃機「エノラ・ゲイ」が、建物の西隣に位置する相生橋を投下目標として原子爆弾を投下しました。投下43秒後、爆弾は建物の東150メートル・上空約580メートルの地点で炸裂。
 原爆炸裂後、建物は0.2秒で通常の日光による照射エネルギーの数千倍という熱線に包まれ、地表温度は3,000℃に達しました。0.8秒後には前面に衝撃波を伴う秒速440メートル以上の爆風が襲い、350万パスカルという爆風圧(1平方メートルあたりの加重35トン)にさらされました。
 このため、建物は原爆炸裂後1秒以内に3階建ての本体部分がほぼ全壊しましたが、中央のドーム部分だけは全壊を免れ、枠組みと外壁を中心に残存することにんりました。ドーム部分は全体が押し潰される程の衝撃を受けず、爆心地付近では数少ない被爆建物として残りました。
 建物内にいた職員など約30名は、熱線と爆風により全員即死したと推定されています。その後しばらくはまだ窓枠などが炎上せずに残っていたものの、やがて可燃物に火がつき建物は全焼して、ついに煉瓦や鉄骨などを残すだけとなりました。
 被爆後、広島の復興は、一面の焼け野原にバラックの小屋が軒を連ねる光景から始まった。その中で鉄枠のドーム形が残る産業奨励館廃墟はよく目立ち、サンフランシスコ講和条約が結ばれた1951(昭和26)年頃にはすでに、市民から「原爆ドーム」と呼ばれるようになっていました。
 原爆ドームは原子爆弾の惨禍を示すシンボルとして知られるようになりましたが、一部の市民からは根強く、「見るたびに原爆投下時の惨事を思い出すので、取り壊してほしい」という意見があり、その存廃が議論されてきました。
 広島市当局は当初、「保存には経済的に負担が掛かる」「貴重な財源は、さしあたっての復興支援や都市基盤整備に重点的にあてるべき」などの理由で原爆ドーム保存には消極的で、一時は取り壊される可能性が高まりましたが、1960(昭和35)年、急性白血病で亡くなった1人の女子高校生が「あの痛々しい産業奨励館が、いつまでも、おそるべき原爆のことを後世に訴えかけてくれるだろう」と記した日記を読み、感動した平和運動家の河本一郎が中心となって保存を求める運動が始まり、1966年に広島市議会は永久保存することを決議します。
 翌年、保存工事が完成し、その後風化を防ぐため定期的に補修工事をうけながら保存されています。
 被爆50年にあたる年1995(平成7)年に国の史跡に指定され、翌1996年12月5日には、ユネスコの世界遺産(文化遺産)への登録が決定されました。
 原爆ドームは、破壊された状態のまま保存するという、矛盾ともいえる特徴をもつ。ですから、保存工事は鉄骨による補強と樹脂注入による形状維持・保全作業が主であり、崩落や落下の危険性のある箇所はそのたびに取り除かれる。また、定期的な補修作業・点検が行われてはいるものの、年々風化が進んでいる箇所も確認されていて、維持・保全に困難な面がある事は否定できません。
 今後、地震の規模や加重のかかり方によっては、崩落する危険性を常に抱えています。

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