おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

公立中高一貫校

2006-01-25 22:56:42 | 教育
 今年、都立の中高一貫校が新たに3校誕生し、千代田区立の中高一貫校も誕生、昨年開校した「白鴎」と合わせて、4月から5校になりました。
 こうした学校は、近年、私立の中高一貫校が東大をはじめとする有名大学合格率をアップさせてきたのに対して、公立校の巻き返しのため、都教委が「教育改革」の大きな目玉の一つとして計画した学校です。
 表向きは、6年間のゆとり教育で新しい時代にふさわしい「総合的な教養」を身につけさせるとしていますが、内実は、私立の一貫校に有名大学進学を独り占めさせないために、受験競争に打って出たということでしょう。ずばりなりふりかまわず「公立校の復権」を叫んでつくった学校です。
 だから、土曜授業はもとより、日常的な補習・補講は当然、夏休みの講習は当たり前、受験戦争で私立に勝つにはそれしかない、という立場です。教える内容も学年前倒しでどんどんやっていく、・・・。文科省の「ゆとり教育」路線で遅れをとった公立が巻き返しを図った。
 しかし、思惑通りにいくかどうか。なにしろ、教育委員会は、ほとんどお金はかけない主義ですから、校舎も新しくするわけでもない、部分的な手直しで出発。クーラーもないままの学校もあります。かなり施設設備では私立には劣っています。それで、なみいる私立に立ち向かおうというのですから、世間も注目せざるをえません。
 先日、各校で願書受け付けをしましたが、どこも10倍前後の高倍率。白鴎だけは、去年よりはぐっと落ち着いた競争率でしたが。入学の合否は、小学校からの調査書(成績)やテストで合否を決めることに。別に地元優先枠(千代田区の場合)や一芸(?)に秀でた子どもの優先枠などもありますが。
 ただし、私立のように、国語・算数などの学力検査ができない!そのため、「適性検査」という「検査」方法で合否を決定することになっています。その評価や採点には、膨大な時間と人手を必要としています。
 東京あたりでは一般的に、私立に行くのには、小学校4年頃から塾通いが当たり前となっています。算数は、今の小学校の普段の授業ではまったく追いつかない内容が試験に出されます。理科・社会なども同様。だから、年間100万くらいのお金を使っての塾通いということ、そうでもしなければ、私立の中高一貫校にはなかなか合格することができない現実です。
 また、私立故に進学後も大変なお金がかかる。「貧乏人はすでに受験戦争からはみだされてしまった」とでもいえそうな雰囲気。だから、親は子どものために必死に金を工面して塾に行かせるケースも。パートで働いたり、小遣いを減らしたり、実に涙ぐましい努力が行われているのです。
 そうした受験体制に対して、公立校では少し趣を変えて、受験問題も過度に小学校の学習を過度に行きすぎないように、それぞれ工夫を凝らした問題を作成しています。また、中学校は公立のために授業料はありません。こうして、なかなか塾に通えない子どもたちにとっては、公立一貫校が人気が出るのも当然です。
 しかし、皮肉なことに、その合格のために塾通いしなければならなかったとしたら、いったいどうなるのでしょう。結局、塾頼みのあげく、年間100万円以上、という厳しい金銭的現実が重くのしかかってくるのです。
 いよいよ2月はじめに各校で試験が行われます。
 かつて、あまりにも過酷な高校受験「戦争」に対して、「15の春を泣かすな」というスローガンの元、高校増設や学級増、定員増、そして教員定数の増などが教育政策として行われました。それも、今やまったく昔話になってしまいました。
 そして、今、「12才」での新たな選別が始まった、いや、10才(塾通い年齢)からの選別が始まったようです。
 新たな未来が開けるのか、ますます混沌とした状況になるのか、子どもたちを取り巻く環境は、たしかに厳しいものがあります。それはまた親の環境の厳しさとも重なっていく。これで、はたして「今の教育に未来はあるのか?」ふと疑問に思います。
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