転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



ひとつ前の日記の中で触れた、フー・ツォン参加の、
モーツァルトのピアノ協奏曲の話なのだが。

私の持っているCDは、演奏者に関して、アシュケナージの他は、
バレンボイムとフー・ツォンがただ併記されていて、
誰が何をやっているのか判然としない記述になっていたのだが、
あれから私は、自分のフー・ツォン・コレクションの中を探して、
このCDのモトになったレコードを見つけ出した。
御陰で、ついに、知りたかったことが全部わかった。

それは三十年以上まえに英デッカから出ていたアルバムで、
モーツァルトの『2台のピアノのための協奏曲K.365』と
同『3台のピアノのための協奏曲K.242』の二曲が収録されている。
どちらも、ダニエル・バレンボイム指揮、イギリス室内管弦楽団、
『2台』のほうは、1stがアシュケナージ、2ndがバレンボイム、
『3台』は、1stアシュケナージ、2ndバレンボイム、3rdフー・ツォン。
1972年4月の録音で、75年に発売されている。

わかってスッキリしたが、そんなことより。
このオリジナルのジャケットが素晴らしい。
フー・ツォンが、あの変な養成ギプス手袋をしてねー!
・・・からではなく、
三人の演奏者のルーツにちなみ、
英語・ロシア語・中国語・ヘブライ語でタイトルが書かれている!

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去年初めて行って、とても面白かった『ピアノおさらい会』が、
今年も、昨日3月15日に市内のホールで行われたので、聴きに行った。
私が会場に着いたときには、まだ早かったので、
開場までかなり時間があり、リハーサルの音が聞こえていた。
そのときやっていたのは、モーツァルトで、
『2台のピアノのためのソナタ』K.V.448だというのはすぐわかったのだが、
私はどうしてこの曲を知っているのだろう、何の思い出があったのだろう、
とロビーでしばらく悩んだ。

さんざん記憶の糸をたぐった挙げ句、
昔フー・ツォンとバレンボイムがやっていたような?と思い出して、
ああ!それだ!それだ!とすっかり納得したのだが、
家に帰って調べてみたら、全然違った(爆)。
私は確かにこの曲のCDを所有してはいたのだが、
それはアシュケナージとマルコム・フレージャーの共演だった(恥)。
フー・ツォンが参加した曲は、CDのクレジットからは曖昧なのだが
『ピアノ協奏曲第10番(2台)』K.365か『ピアノ協奏曲第7番(3台)』K.242
のどちらかで、いずれもファーストはアシュケナージ、
バレンボイムは、指揮をしていた(というか弾き振り??)。

・・・という、私の脳ミソも耳もこんなもんだ(泣)な話は、おいといて。

去年書いた通り、ここの『おさらい会』は、
小学生~高校生の、いわゆる発表会ではあるが、その内容たるや、
天分に恵まれた子供が質の高い指導を一貫して受ければ、こうなる、
ということが如実にわかる、レベルの高いものだ。
ここの子供さん達・学生さん達は、自分が何をどう弾きたいかについて、
幼いながら・若いながら、確信と自己主張とを持っている。
ピアノ教育の方法や実態に、関心も知識もない私が、
「演奏会」でなく「おさらい会」をわざわざ聴きに行くというのは、
純粋に、ここで披露される演奏内容が面白いから、に他ならない。

印象に残ったのは、小学校5年生の女の子が弾いた、
ショパン『スケルツォ第1番』だった。
リズムの切れ味、不協和音の連続から来る不穏な響き、
3部形式の構成がはっきり伝わってくるメリハリ、
どれを取っても、曲の「良いところ」がピタリと把握されていて、
5年生でこれだけのことが一度に出来て、その上で存分に聴かせる、
という力量には、ほとほと感心してしまった。

また、ブラームス『ラプソディ作品79-2』と
プロコフィエフ『ロミオとジュリエットより
「モンタギュー家とキャプレット家」』を弾いた、
小学校6年生の女の子もいて、
それは、かなりポゴレリチ的な選択だなと、個人的な感慨が深かった。
重厚な和音と強い打鍵の連続で、しかもリズムも複雑で、
好きで弾いている部分と、学習途中の部分との両方がわかり、
こういう曲に挑戦した御本人の意欲は、実に頼もしいと思った。

二年続けて聴いてみて、まさに発展の途上にある年若いピアニストが、
日々成長していく様を、純然たる楽しみで観察させて頂くのは、
なかなか面白いことだと改めて思った。
来年もきっとこの「おさらい会」が開かれるだろうから、
そこで、更に成長した彼ら・彼女らに会えることを
これからの一年間、楽しみに待っていたいと思う。

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会場で某氏に出会い、この日記に関して、
「このところ、よしこさんはスパークしている」
と言われた。
ありがとうございます。その通りです。お恥ずかしい。
実は、3月2日に清志郎に行ってから、私は気が変になってしまい、
それが今も、続いている。
この状態が、いつどうやって沈静するのか、我ながら興味深い(爆)。

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