先月後半は私が腰痛で動けなかったので、
きょうは久しぶりに、某ホームに両親の顔を見に行った。
それの前に、午前中は神社のご奉仕をして、
昼食後、地元スーパーで榊を買って墓参りもして、
それからホームに回ったので、午後2時半頃になっており、
着いたら母がちょうどお風呂が終わって着替えをしたところだった。
家に居た頃はろくに入浴もしなかった二人だが、
ホームに来てからはピカピカのお肌になった。本当に良かった(T_T)。
父はベッドに腰掛けてテレビで早慶戦を観ており、
私が持参したケーキを食べるかと尋ねたら、
「わしは、甘いもんは、食べんほうがええということに、なっとる。
このところ、糖尿の治療の注射をすることになったんよ」
と言った。
自覚としてはどこも痛くもなんともなく、快適な毎日だそうで(^_^;
父は特には悩んでいない様子だった。
あとで看護師さんが私に説明して下ったところでは、
父は以前より更に、血糖値もHbA1cも上がっているので、
先月末から、インシュリンを昼に1回打つことになったそうだ。
父はホームの魚中心の食事を嫌い、売店の菓子パンを主食にしていたので、
悪化したと言われても、私にはなんの不思議もなかった。
90歳にもなるので、糖尿があろうがなかろうが寿命だろうと私は思うし、
以前から、ホームの職員さんもそれには同意して下さっているのだが、
主治医の先生が、『あまりに血糖コントロールが悪いとなると、
今後、骨折などした場合、治療が困難になるので、
やはり医者として放置できない』と仰ったそうだ。
勿論その通りなので、家族としての私は何も言うことはなかった。
オヤツは控え、好き嫌いを言わずに食事をきちんとするようにして、
ときどき甘いものも楽しむ・外食にも行く、というくらいでどうだろうか。
母のほうは、かつてなく機嫌良くしていた。
母とてホームの食事に心から満足している訳ではなかったが、
三度三度、座っているだけで御飯が出てくる境遇は有り難い、
と語っていた。更に母は、
「家事もせんでええ、なんの心配ごともない、となると
毎日毎日が平穏無事に同じように過ぎて、何にも起こらへんから、
最近、ここでやっとるお習字の会に行くことにしてん」
と言った。
そりゃまた、なんと良い傾向なのだろうか(^^)。
前々から、各種あるサークル活動に参加してみたら良いと
こちらの職員さんからもお勧めがあったし、
私もそうしたら気分転換にもなるだろうと、思っていたのだ。
母は、ホームでお友達になった同い年の女性に誘われて、
毎週1回開催される書道の会に先週、行ってみたそうだ。
自分の道具を持っていなくても、書道の部屋に定刻までに行けば、
すずりと筆と墨汁、それに下敷きと半紙5枚が用意されており、
配られたお手本を見て、すぐ書けるようになっているそうだ。
文字の配置や、とめ・はね・はらい、など、
工夫しながら書くことで、無心に時間を過ごすことができ、
なかなか気に入ったと母は言っていた。
最初の半紙5枚を使い切ったら、有料になるが追加で半紙が貰えて、
納得行くまで書いて良いとのことだ。
終わったら、来たとき同様、手ぶらで部屋に帰るだけだ。
指導者は居なかったが、書き終わったら3枚ほど自分で選んで、
提出するようになっていたそうで、次回までに添削があるのかも?と
母は言っていた。
「でも、どっちでもええねん。子供のお習字でないねんから、
自分でええと思うように書けとったら、そいでええねん」
と母が言うので、それは大人の特権だなと私も思った。
ピアノでもそうだ、子供のお稽古では好きでない曲でも
上達のためには課題にしなくてはならないし、
悪いところは先生になおされたりするが、
大人の趣味のピアノは弾きたい曲だけ弾けば良いし、
自分が弾きたいように弾けたと満足できるなら、それでOK。
90歳の書道だって同様に、本人の楽しさが第一だ。
母はそれでも、「マイ筆」が欲しいと言った。
備え付けの筆はさすがに先が割れて、使い倒した感じのもので、
「弘法筆を選ばず言うても、私はムリ(笑)」
だそうで、半紙に四文字程度書くための中くらいの筆と、
名前用の小筆が欲しいとのことで、私が用意して届けることになった。
「家にある、古いのでええよ」
と母は言ったが、この際だから買ったって良いではないか。
熊野筆の凄いのは買えんけどもよ(^_^;。
追記(6月3日):母からメールで(!)「お習字の2回目に行ってきました」
と報告があった。母が携帯メールの使い方を思い出したのは久しぶりだ。
前回提出したものは先生の朱が入り、添削されて返却されたとのことだ。
そのうちの1枚は三重丸がついていて、『秀作』と褒められており、
「先生大サービスです。今はまだ楷書からですが、精進しようと思います」
と母は書いていた。
母が家事や仕事から解放されて、時間を忘れて好きなことに打ち込む、
というのは少なくとも主婦になって以降は、ほぼ無かったことだろう。
母に、このような穏やかな老後があったことを嬉しく思った。
良いのが書けたら、額装か軸装すればどうだろう。
……目下やたらと頭の具合が良いようなので、
これが長続きしてくれることを、切に祈る(汗)。
Trackback ( 0 )
|