入院して一週間、姑はまだ抗生剤を使い酸素吸入をしているが、
体調としては落ち着いていると主治医から説明があった。
平熱になり、血液検査を見ても炎症反応がほぼ正常なので、
肺炎に関しては終息しつつあるとのことだった。
そして、このあと、順調に行ったとして、来週あたり、
胃瘻(いろう)をつくる処置をしてはどうかと先生は仰った。
嚥下の状態についての評価によれば、
やはり食事の経口摂取には限界があるとのことで、
今後、同じような誤嚥性肺炎を繰り返すと衰弱してしまうので、
安全にカロリーを取り体力を維持するためには、
胃瘻が良いのではないかということだった。
五年前、75歳のとき、姑は脳梗塞で痙攣発作を起こして、
その後、我々と視線も合わない・表情も変えない状態になり、
経鼻管で食事を入れていた期間があった。
あのとき、一度、胃瘻の話が出て、それが必要なら仕方がない、
と一旦は同意したのだが、そのあと姑が超人的な回復を見せ、
最終的には元通り、意思表示ができ食事も取れるようになったので、
胃瘻の話は、あれ以来、見送られていたのだった。
しかし今回は、少なくとも半年くらい前から痰が多くなっていて、
食事時にむせることも増え、食欲も落ちてきていたので、
家族の目で見ても、嚥下困難という判断は正しいと思われた。
何かを食べて美味しい、と思う楽しみが減ってしまうのは残念だが、
ものは考えようで、嚥下は難しくとも胃腸には問題がなさそうだから、
胃瘻から十分に栄養を入れることができれば、
姑は今後、食事のたびに咳き込んで疲れることから解放され、
必要なカロリーが取れ、むしろ元気になれるかもしれない、とも思った。
胃瘻を造っても、口から全く食べられなくなるのではなく、
固形物でないものなら味わう程度のことは大丈夫と言われたし、
できなくなったことをあれこれ思い煩うよりも、
改善される点があるということを、今は、歓迎したいと思う。
食べられなくなってまで、ただ長らえていたくない、
と、元気な頃の姑なら、もしかしたら、言ったかもしれない。
でも、今の姑は、いつもニコニコしている、静かな「ばーちゃん」だ。
特に苦痛は無さそうだし、皆の笑い声につられて一緒に笑ったり、
甘い飲み物が嬉しかったりするのが、最近の日常だ。
そうやって姑なりに楽しいことがあるのだから、
やはり、少しでも元気になって、またもとの生活に戻れるよう、
手を尽くすのが良いのではないか、と、私は思った。
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