転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



地元の音楽大学内のホールで、
かなり聞き応えのある発表会があるから、
・・・と某氏に誘われて、午後から行ってみた。
プログラムには『ピアノおさらい会』と書いてあったのだが、
これが、もう、『合同演奏会』と言うべき大変な内容で、
私は午後一時半から夕方六時近くまで聴いて、
鼻血が出そうになった。

普通、『おさらい会』というと、
バイエルとかランゲとかフンメルとかの曲が
たどたどしくも愛らしく演奏され、
ちょっと間違えちゃったけど頑張ってよく弾けました、
最後はみんなでお歌を歌って終わり、という感じではないだろうか。
それが今日のは、とんでもなかったのだ。

出演者は小学校4年生から高校3年生までの生徒さんだったのだが、
全員が、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、リストなどの難曲と、
必ず一曲はエチュードを組み合わせて演奏するようになっており
(大半の人がショパンのエチュードから一曲を選択していたので、
『ピアニストは、まずショパン弾けなくてはいけない』
という井上直幸氏の言葉をなんとなく思い出してしまった)、
更に、学年の高い生徒さんになると合計で三曲ほど弾く人もあって、
小さい規模ながら自分の演奏時間を構成する力も試されるという、
非常に専門性の高い演奏内容ばかりだった。

しかも、学年の低い生徒さんであっても、
習った通りロボットのように弾く、などというものでなく、
幼い・若いながらも、いずれ劣らぬ明確な主張のある演奏で、
世の中、ピアノを習う子は多いけれども、
才能の有無はもう、最初から明らかなんだなと感じ入った。
勿論、こうした生徒さんをここまで指導なさっている先生が、
素晴らしい力量をお持ちなのは明白だった。

挙げ句に、ゲストということで小学生の女の子が、
ヴァイオリン演奏(タルティーニ『悪魔のトリル』)を披露したのだが、
これがまた、聴いているこちらの顎が外れそうな圧巻の演奏だった。
ほっそりした、あどけない5年生の女の子で、
あの体型だとフルサイズのヴァイオリンではあるまいと思うのだが、
それでどうしてあんな物凄い音が出るのかという強烈な演奏だった。

転妻「グァルネリの分数ヴァイオリン、なんてのがあるんですかね」
某氏「四分の三ガダニーニ、ってありましたっけ」
と終わって我々は異口同音の感想を漏らした。

いやはや、きょうは、聴きすぎ、圧倒され過ぎて、消耗しました。

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