先日、舅宅に帰っていた日の晩、
主人と喋っていて、じーちゃんの思い出話になったのだが、
「うちも、ちとは羽振りの良かった時期があった」
という話を、主人が、し始めた。
もう数十年前の話になるが、二輪業界の景気が今よりずっと良く、
舅のバイク屋さんも、それなりに儲かっていた時代があった。
それで当時、もちろんまだ若く元気だった姑が、
余裕のあるときに投資をしようと思ったのか、
『金の延べ棒』を買って来たことがあったのだそうだ。
その頃の値段でいくらしたのか知らないが、
主人の話によると、結構、ちゃんとしたものだったらしいので、
今時の、投資信託くらいの意味は、あったのだろうか。
姑が購入して、晩ご飯のときにそれを披露したら、舅は、
『ほんまに金かいの!?』
と疑わしそうな目をして、その延べ棒を手に取り、
おもむろに、ぐいっと曲げようとしたのだそうだ。
そうしたら、本当に延べ棒はクニ~と曲がった(爆)。
さすがに「金」だけのことはあって、延べ棒は変形しまくりだった。
『何すんね!!やめんさいや!!』
と姑は血相を変えて怒ったそうだ。
「あの延べ棒、それで、どしたんかな。
あれから見かけんから、どっかで手放したんじゃろうとは思うが」
と主人は笑っていた。
この話を聞いて、私も似たようなことを思い出した。
投資とは全然関係ないのだが。
それは元気だった頃の姑から聞いたことだ。
もう隠居してからの話だが、ある日、舅と姑は、
市内のデパートに買い物に行った。
するとそのときちょうど、家具売り場で、
ロッキングチェアーの販売会が行われていた。
『ゆらりゆらりと心地よい揺れでリラックスできて、
しかも安定性が良く、決して後ろに倒れることはありません』
と販売・説明担当の女性が言ったそうだ。舅は、
『ほんま?ほんまに倒れんのんじゃろうの?』
『はい、勢いよくお座りになっても大丈夫です』
『ほんまじゃの?』
舅は、それで揺り椅子に座ると、
『せーの!』
と振りをつけて漕ぎ、次の瞬間、
どーーーん!!!と真後ろにひっくり返ったそうだ。
私の話に、
「オヤジ、ほんまに、しょーのない人間やったのぅ」
と主人が腹筋を震わせて笑った。
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