どのジャンルでも往々にしてあることだと思うのだが、
自分はある程度客観的な人間だと自負しているタイプのファンは、
贔屓の役者や演奏家に対して、必要以上に冷淡さを装うような気がする。
いや、どこからが「必要」以上かは、厳密に言うと定義しにくいのだが、
他のアーティストに対するよりも、贔屓のその人に対してだけ特別に辛辣である、
という場合が、結構あるような気が、私は、する。
例えば、宝塚系のHPを見ていると、男役Aさんの熱心なファンが、
今の公演をあまり褒めておらず、
「Aは難しいところに来ている気がする。
これまでのような輝きが感じられなかった。
今回私はAにときめくことがなかった。
若手のBちゃんCちゃんのほうが新鮮な魅力があった」
等と書いていたとする。正直な感想ならそれはそれでいいと思うのだが、
今度、Bちゃんのファンサイトに行ってみると、Bちゃんファンたちが、
「昨日の舞台、私はBちゃんなんかほとんど見ていませんでした。
それより、Aさんや相手役のaさんのほうに目が引き寄せられました」
等々と書いていたりするのだ。
思うに、これは屈折した母心みたいなものだろうか?
うちの子に、もっともっと立派になって欲しいから、奮起させたいと思い、
手近でお手本になりそうな人を引き合いに出して、我が子をわざと突き放す。
あるいは、「この満足できない私を、なんとかしてっ!あなたが悪いっ!」
と我が儘を言っている、恋人の女性、という気分だろうか?
私の愛を得たかったら、もっと努力なさい、
とまで思うかどうかはわからないが、少なくとも、
私はこれしきの舞台成果では及第点はあげません、
というパフォーマンスの匂いは、ある。
私も結構、「けなしファン」の部類らしくて、
ファンサイトで私の投稿を読んだ人から、
「あなたの辛口批評を楽しみにしています」等と、
メールを貰うことが時々ある。
「楽しみ云々」は社交辞令としても、
私の文章を形容すると「辛口批評」かい。
私の態度が尊大なのだろうな(爆)。
私の場合は、贔屓への愛と観察が並大抵のものではないので、
話が非常に細かくなり、その結果、注文もうるさくなる、
と確かに自覚している。
ただ先に例としてあげたファンサイトの人々と異なるのは、
私の場合、原則として贔屓の話しかしないことだ。
褒めてもけなしても、私は贔屓のことしか眼中にないことが多い。
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