お世話になっているインテリア・デザイナーの某氏からご案内を頂き、
昨日は昼に、某家具店が期間限定でやっている絨毯展示会を見に行った。
私は自分の装いには無頓着なのに、インテリアを工夫するのは大好きで、
今住んでいるマンションも、二年に一部屋くらいの割合で、
これまでカーテンを誂えたり、壁面収納をオーダーしたりして来た。
最初にLDK、次に主人の書斎を手入れして、今度は娘の勉強部屋を
期末考査が終わったらなんとかしてやりたいなと考えている。
全室を一度にやるほどの経済力が我が家には無い、というのも理由だし、
私自身、家族と相談しつつ部屋をつくる過程を楽しみたい気持ちが強く、
一部屋ずつ時間をかけて整えていくことが望みでもあるのだ。
部屋の雰囲気を決定するのはカーテンだと私は信じているのだが、
それに次いで、広い面積を覆うのが敷物だろう。
大きさ・価格の両面から、カーペットは私にとって決心の要る買い物だ。
だから未だに、官舎から持ってきたセ○ールの防ダニ加工ラグなどを
とりあえず、という感覚で敷いている箇所がほとんどだ。
昨日はそういうわけで、高級絨毯を見て「目」を養いたいと思ったのと、
もし良い出会いがあれば玄関マット程度は買ってもいいかな、
と考えたのとで、雨の中、某家具店の展示フロアまで行ってみた。
予想できていたことだが、家具店がやっている絨毯展示会なので、
それはそれは素晴らしい逸品揃いだった。品物も、お値段も(爆)。
私はもともと、ややクラシックな趣味なので、
メダリオン柄のベージュ系ウィルトン織りなど好きで、
うちにあるのは通販で買った機械織りポリプロピレン100%のヤツなワケだが、
こういう専門店が看板として扱うのは『特選 手織絨毯』だった。
材質はウールや絹、制作に数年単位を費やすような一点物ばかりで、
ナインやクム、タブリーズなどペルシャ絨毯の有名どころが揃っており、
ほかにベルギーカーペットや中国緞通などもたくさんあった。
最高級として展示されていたものは、大きさは3畳ほどのペルシャ絨毯で、
18金やパールを織り込んだきらびやかなタペストリー仕様の美術品だった。
「こういうのになると、一生に一度、見られるかどうかの品ですね」
と案内して下さったインテリア・デザイナー某氏が仰っていた。
お値段、まさに1700万円。
小さいマンションがもう一軒、買えるぞ(汗)。
掃除機にカリカリっ!とパールのツブを吸い込んで真っ青になる、
という自分が容易に想像できてしまった(殴)。
もうチョト、現実的な話をさせて貰おうか、ということで、
私は玄関敷きを何点か見せて貰いたいと言ってみた。
85cm×60cmくらいの大きさなら、贅沢をしても知れているのでは、
と私は考えたのだ。
最初はマンション玄関の直線的なレイアウトを考慮して、
モダンなギャベのマットなどを勝手に眺めていたのだが、
途中で担当の男性が飛んできて、我が家の玄関フロアの床の色と材質を訊ね、
「それでしたら、ウールかシルクが断然お勧めです」
と、私の言うサイズのものを即座に四枚ほど出して並べて下さった。
そのうちの一点に、私の目は吸い寄せられた。
やや薄手のシルクで、小さな花模様をあしらったデザインが実に細やか、
かつ、見る角度によって、まるで別の配色のもののように濃淡が変わる、
という繊細な工夫が凝らされたペルシャマットの一枚だった。
触れてみると、うっとりとするような滑らかさだった。
さすがに絹の感触は違うのだった。
なんて気持ちが良いのだろう!
お客様が玄関を入られたときの最初のおもてなしが、
こういうところから始まるというのは最高だ。
こんなものを見たら最後、我が家の今の玄関マットなど、
風呂上がりの足ふきマット同様に思えてしまうじゃないか(--#)。
と、同時に私の脳裏に浮かんだことは。
こんなキモち良いモノを、もし猫が居たら見逃す筈がないな、
ということだった(わんこでも勿論そうだろう)。
かつて、うちにいたにゃんこのミーコちゃんやチー子は、
洗濯物を取り込むと、即座に上に乗って寝ていたものだった。
「これ!そこが気持ちええて、誰が教えたのっっ!!」
と毎回、母が怒っていた。
猫のいる家で、こんなシルクの玄関敷きなど備え付けたら、
たちどころにそれは猫の寝場所と化すだろう。間違いない。
価格は、65万円、分割払い可、とのことだった。
私は自分の目の高さに心から満足し、
担当者相手に、シルクの美しさを言葉を尽くして褒め称えたのち、
購入は固辞して、早々に展示場を辞した。
猫のための、65万円の特製一点物の寝床……、
帰る道すがら、それだけが繰り返し思い出されて、腹筋が震えた。
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