主人が、舅から相続したぶんの預金口座が複数あったのだが、
どれもたいした金額の入ってない普通預金だった。
舅は、まとまったものは有価証券と定期預金にしていて、
普通口座のほうは、もっぱら財布代わりにしていたらしかった。
だが、普通の人とちょっと違うところは、舅の趣味で、
いずれも、カードをつくっていなかったことだった。
舅は、ATMなるものが大嫌いで、決してキャッシュカードを作らず、
通帳と印鑑を窓口営業時間に持参して、出し入れしていたのだ。
彼の入院中には、我が家でこれらの通帳を預かり、
私が舅から頼まれて、お金を出しに行ったこともあった。
で、主人は名義だけ引き継いだものの、金額も金額だし、
しばらくこれらの存在をすっかり忘れていたのだが、
先日、ふと、もう、外からの入金はないのだから、
このまま放っておいたらいつか残高ゼロになる、と気がついた。
特に、舅宅の光熱費や電話代などの引き落とし口座になっているものなど、
舅が亡くなってからも、毎月順調に減り続けているので、この調子だと、
あといくらもしないうちに、残金がゼロになりそうだった。
ということで、主人は、銀行と郵便局の口座のキャッシュカードを
今更ながら新規発行して貰うことに決めた。
そうすれば、休日に、主人がそこらへんのATMを使って、
入金も出金も出来るようになる。そもそも、今や本人の口座なのだ。
私が舅宅の近所の、それぞれの金融機関窓口に行って訊ねたところ、
主人が直筆で書類を書き、届出印を押せば、
手続きに来るのは代理人の私でかまわないという返事だった。
厳密に言うと、郵便局に限っては暗証番号を本人が来て入力する、
という仕組みだったが、家族なのだから私が番号を聞いてきて、
私の手で入力するというのでも、いい、とのことだった。
私「私の身分証明とか、委任状が要りますか?」
窓「いいえ」
私「中区のほうの支店でも手続きできますか?」
窓「どこでも同じですよ。取り次ぎされますから大丈夫です」
という会話を、私は佐伯区内の銀行でも郵便局もで繰り返した
(例の、隣り合っている某支店と郵便局だ)。
かくて、私はそこで必要書類を貰い、自宅で主人が記入し、
きょう、銀行印を預かって、中区のほうの支店に出向いた。
まずは、某銀行某支店の窓口に、通帳を印鑑と書類を出して、
私は言った。
私「この通帳の、キャッシュカードを新規でつくりたいんですが」
銀「はい。・・・あら、失礼ですが、こちら、ご主人様名義ですね」
私「そうです」
銀「すいません、ご本人に来て頂かないといけないんですよ」
私「勤務時間の関係で、本人の外出は難しいんですが」
銀「お昼休みなんかに、ちょちょっと、来られません?」
私「(アナタらのお昼休みは、『ちょちょっと』外出できるのね?)
あの~、○○支店のほうで、代理人で手続きできると聞いたんですが」
銀「じゃあ、身分証明書をお出し下さい」
私「私の運転免許証でいいですか」
銀「いえ、ご主人様ご本人の、写真つき身分証明書を」
あーもー、なんでこう、支店ごとに言うことが違うのかな~。
私は諦めた。遠いけど佐伯区の支店に行くべきだった。
あそこなら「要らん」と言った張本人が居るんだから、
交渉のしようもあるだろう。
それで、次に、郵便局に行った。勿論、既にイヤな予感はあった。
私「この通帳の、キャッシュカードを新規でつくりたいんですが」
郵「ご本人様においで頂かないといけないんですけど・・・」
私「私が代理で、暗証番号を入力すれば手続きできると、
某郵便局で聞いて来たんですが、駄目ですか」
郵「委任状はお持ちですか」
私「(そう来たか)いいえ」
郵「ご本人様のご意志の確認ということで、委任状がいるんですよ」
私「それは、便箋かなんかに、必要事項署名捺印があればいいですか」
郵「いいえ」
と言って窓口嬢は奥に引っ込んでから、改めて、
所定の空欄を埋めて完成させる書式の『委任状』を持ってきた。
郵「こちらに、ご本人様直筆で、ご記入頂くようになります」
私「さいですか~~~(^_^;」
しゃーないな。私が多分、悪かったんだろうな。
最初の窓口での会話を全面的に信用したなんて。
だけどキャッシュカード発行のための委任状なんて書類、
きょうが初登場よ?
佐伯区の某郵便局には、どーしてこれが存在してなかったんでしょうね?
それにしても、つくづく思った。
とにかく金融機関は、用心のために、手続きが物凄く煩雑だ。
一旦預けたら、むこうの出す条件(それも支店ごとに違う)を
全部、のまなければ、全く、出し入れ出来なくなる恐れがある。
私がもし、ある程度長生きしたら、自分名義のすべての預金を解約して、
瓶に入れてベッドの下か肌着の間に隠し(かどうかは知らんが(^_^;)、
しかるのにちに、主人か娘に、そのことを伝えておかねばなるまい。
だって、私本人が手続きに出向けなくなったら、
こんなふうに、えらいことになるのだから。
そのとき、娘がもし、勤めにでも出ていたら、必ずしも、
『昼休みにちょちょっと』外出できる境遇かどうかわからないし、
幾度も幾度も年休取って出てこなくてはならないというのでは、
あまりに不便ではないか。
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