まちや小(ぐわあー)

その先を曲がったら何があるのだろう、どきどきしながら歩く。そして曲がってみて気がついたこと・感じたことを書く。

境町

2017年01月24日 | Weblog

参与。

『vote18インタビュー

学生で自治体の参与になった塙佳憲さん「若い世代と町をつなぐ役に」
                     2016年7月4日:毎日
 
18歳以上に選挙権年齢が引き下げられた参院選。政治に要望する立場を飛び越えて、自治体の参与になった18歳がいる。慶応大学総合政策学部1年で、今年4月に人口約2万4000人の茨城県境町の参与に就任した、塙佳憲さんだ。担当は若者向けマーケティング戦略。仕事ぶりをのぞき、まちづくりへの思いを聞いた。【中村美奈子/デジタル報道センター】
 
東武鉄道の東武動物公園駅からバスで40分。茨城県南西部にある境町役場で、橋本正裕町長の諮問機関、境町戦略会議が開かれた。塙さんは、若者がまちづくりに参加するきっかけとして企画中の、高校生による政策立案コンテスト「境町高校生まちづくりアイデアソン」の進捗(しんちょく)状況を説明した。高校生に町の活性化策を提案してもらうイベントで、町長らが審査後、優秀作は予算を付けて実行される。委員として会議に出席した大学教授らから、「議論の進行役の大学生の研修が必要」「参加者にテーマ探しの方向性をある程度示した方がいい」と意見が出た。橋本町長が次々と議事を進め、塙さんにメールによる報告を求めた。
 
−高校生による政策立案コンテストとはどういうものですか。
塙さん 町の将来を担う世代の高校生にまちづくりを考えてもらうため、8月に町内の旅館に1泊で合宿して実施します。高校生数人を1チームとして、チームごとに境町の政策を作ってもらいます。まずは課題を洗い出すことが必要。町の何が問題で、どういう資源があるのか。町の現状を知るフィールドワークを合宿前にしてもらいます。誘導は要るでしょうが、取り組むテーマの設定からやってほしいです。 元々まちづくりには興味がありました。茨城県ひたちなか市で生まれ、今年3月に高校を卒業するまで18年間住んでいましたが、境町には一回も行ったことがなかった。とにかく町の人との関係性を作っていこうと、5月と6月、町内の高校生が通う県立境高校と、隣町の県立坂東総合高校で、コンテストの説明会を開きました。放課後に校内放送をして、境高校では高3を中心に35人、坂東総合高校では高2を中心に26人が集まってくれました。
 
−説明会では高校生からどんな質問が出たのですか。
 
塙さん。「参加費はいくらかかるのですか」、「私たちもアイデア出せますかね」といった質問が出ました。「費用は無料です」「僕の大学の同級生がメンターとして手伝ってくれます」と答えました。境高校では「参加します」とすぐ2チームが名乗り出てくれ、すごくうれしかった。参加者の目標は5チームで、あと3チーム、参加を検討中です。 参加者には、立案したアイデアをもとにして、実際に活動を起こしてほしい。応募してくる人はやる気のある人たちで、動ける場があれば動くと思う。ぼくは場を作るのが仕事。行政の人は本気になってフィードバックを返してくれます。高校生が動き出すことで、大人たちも触発されると思います。
 
−境町の第一印象は。
塙さん つかみどころのない町だな、と。県内でも知られていない町ですが、町内に中心市街地がない。町の中心は、野菜や特産物を販売する道の駅。説明会に来た高校生に「普段どこで遊んでんの?」と聞くと、「家」だと言うんです。遊び、娯楽がなく、町のコア(核)がない。 つかみどころのなさは茨城県も一緒です。1人当たり県民所得は全国の上位8位。首都圏に野菜、果物を提供してきて、メロンの生産量は全国一です。他にもレンコン、白菜、ピーマン、鶏卵など、生産量全国1位の物を挙げたらきりがない。いわゆるコモディティー(一般化して品質の差別化が困難な製品やサービス)と茨城は相性がよく、あれもこれもになってしまって、明確なイメージ像を作り上げるのが苦手。もどかしさがありました。
 
−まちづくりになぜ興味を持ったのですか。
塙さん ひたちなか市や水戸市の中心市街地から人がいなくなり、活気がなくなっている。その状況をどうにかしたいと思っていました。地域活性化の本をいろいろ読んで、中学3年の時、全国を踏破した地域問題の専門家、藻谷浩介さんの水戸市での勉強会に出て、「僕の町でも勉強会をやってください」と直談判しました。藻谷さんは「いいですよ」と即決でした。
 
藻谷さんを呼んだ勉強会は、高校1年の6月と12月、ひたちなか市でやりました。1回目は講演会の前に、藻谷さんと市内の街歩きをしました。2回目はひたちなか市の市長を呼び、藻谷さんとのパネルディスカッション。藻谷さんは豊富な知識をもとに、アイデアが出てくるところがすごい。商工会の知り合いに頼んで市長に来ていただきましたが、公民館を借りたり、マイク機材を手配したり、タイムスケジュールを組んだり、事務全般は自分でやりました。
 
−高校時代に起業したそうですね。
塙さん はい。中学時代に名刺のデザインをやっていて、頼まれて大人の名刺を作るようになり、「会社を作ったら?」とコンサルティングを手がける大人の知人に言われたのがきっかけです。高校1年の時、名刺や企業のロゴのデザインを手がける株式会社を設立しました。起業は自分がすべて。10やろうと思ったら10やれる。でも、政治は10やろうとしても1、2しかできない。そこは人と人との関係、調整力によるのだと思います。
 
−参与になった経緯は。
塙さん 起業して間もなくの高校1年の3月、千葉県流山市で開かれたプログラマーやデザイナーがアイデアを競う大会に参加したのですが、そこで地元の市議会議員と知り合いました。その市議が麗澤大学(千葉県柏市)の客員研究員になり、昨年秋、「大学の研究を手伝わない?」と客員研究員に誘われました。麗澤大学と境町は、人材の活用と育成の場としてお互いに協力しようと包括的連携協定を結び、その縁で参与の話をいただきました。僕、基本的に断らないので、お引き受けしました。面白そうなことはやってみる。行政の仕事には興味がありませんでしたが、入ったからには、地元に根付いた文化を作っていく使命を感じています。月2、3回、下宿先の東京都町田市から、レンタカーや電車で町役場での会議や打ち合わせに出席しています。
 
小学生から大学生まで、若い世代と町をつなぐハブの役割を期待されていると思っています。学生の皆さんの声を集めたり、やりたいことを実現する場を用意する。僕は突き詰めればよそ者。抱えている不満は町民が自ら解決していくことが必要です。まずは自分たちの行事を自分で考えて自分でやる。僕のやっていることを見て、こういうことが政治なんだな、まちづくりなんだな、と感じ取ってもらえたらいいですね。
 
町長はすごくエネルギッシュ。人を巻き込む力がすごい。僕を起用したのは町長で、僕も巻き込まれた一人だと思ってるんですけど、弁が立ち、こちらまで元気が出る方です。僕の起用に限らず、アフターファイブには全国から講師を招いて勉強会をしたり、境町の行政ってお役所仕事から離れていて、非常に面白いです。
 
※はなわ・よしのり 1997年、茨城県ひたちなか市生まれ。私立茨城高校1年の時、名刺や企業のロゴのデザイン会社「飛脚堂」を設立、社長を務める。2015年10月、麗澤大学地域連携センター客員研究員に就任。16年4月、慶応大学総合政策学部に入学、茨城県境町参与(非常勤)に就任した。

※今日、知り合った若者。実にすばらしい!。で、こういった子を参与として迎える境町も素晴らしい!


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