Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

給水 地獄配管の繋ぎ方

2019-11-20 20:03:49 | 設備 水道工事
給水工事をする時にパイプの自由が利かない地獄(じごく)と言う状態が有ります
その様な時でも仕事を進め完了させなければいけません 地獄配管で通常の継手を使い
パイプを繋ぐ方法をご紹介します




今回の作業は一部実際に現場で作業を行った写真に加え、倉庫で模擬作業を行い
皆さんにその様子をご覧頂きます




実例

土を掘り地中埋設給水管を出しました




仕事の都合に依り給水管の一部を切り取ります
この給水管は掘り方も狭く自由に動かせません
この様な条件では給水管を復旧する時 ソケットを使い
ただ繋げば良いと言う訳には行きません



繋ぎ

結果としてこの様な継手の使い方をして復旧します

復旧の方法としては他のやり方も有りますが今回は
何故ソケットが使えなくなるのかの説明をしながら
この施工方法をご案内させて頂きます






倉庫のベニや板の上で模擬作業を行います 用意したのは
HIVP 20 と言うパイプで一般的に良く使われている部材です




まず念頭に置いて頂きたいのは この給水管は左右、上下に
動かない状態で有る事を想定しています






まず給水管のこの部分をカットします






パイプカッターを使います




給水管を切りました 確認して頂く為にパイプを上下にずらしています
この後この給水管を復旧し水を通水出来る様に作業を進めます




この給水管を元に戻す場合はソケット(真っ直ぐな継手)を
使えば良いのですが、今回の状況では使えません 
※ この理由はもう少し後で説明させて頂きます








給水管をもう一ヶ所切りました カット間の寸法は約 25cm です






この給水管を復旧する場合 この様にソケットを2個使えば済みます




ソケットを含め継手にはパイプを差し込む必要が有ります
これは管径に依って変わりますが 今回の 20mm のパイプの
差し込み寸法は 35mm です




継手にパイプを差し込む時には、一旦パイプを 35mm動かし
もう一度それを継手の奥まで差し込む必要が有ります
この様な作業を ヤリトリ と呼びます

今回は最初にお断りした様に給水管は動かせません
これではソケットに差し込む事が出来ません
この状態を 地獄 と呼んでいます






地獄配管の場合 パイプを炎で炙り柔らかくして施工する事も有りますが
今回は、火を使わずこのエルボと言う 90度に曲がった継手を使います




まず切り取った動かせない給水管の両側にエルボを接着剤を使い
取り付けます この時に注意をする事は、左右のエルボの方向が
捻れていない事 
この写真では両方のエルボがベニヤ板に隙間無く接しています
この状態を現場では目視で行います
 
※ パイプの切り端の面取り、継手の差込代のマーキング
接着剤の塗布は必要ですが 今回の模擬作業では省いています




次に行うのは復旧用に用意した給水管を寸法取りして 先程取り付けたエルボ間の
寸法に合わせた写真の様な物を作ります このエルボにも接着剤は使っています






この動かせない給水管のエルボ間と 復旧用に用意したエルボ間との寸法は
同じである必要が有ります




二つを仮に合せてみるとしっかりと合っています これは
大切な事です




復旧用のエルボに短管を装着します この短管の長さも
今回の状態では同じ長さにします






寸法取りした復旧側と動かせない給水側とを接着剤を塗り
しっかりと継手の奥までパイプを差し込みます





これで接着剤が乾けば完了です 地獄配管 これは悩ましい状態で改装工事などでは
たまに起こる事は有りますが、新規で配管をする場合は絶対にそんな状況を作ってはいけません

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圧着断水機を使い 漏水修理

2019-11-11 20:09:31 | 設備 水道工事
給水配管にバルブや止水栓が無く水が止められない時に使う道具で 圧着断水機と言うものが有ります
実際の現場では写真を撮る事も出来ないので 仮想作業で多くの写真を使い断水機の使い方と漏水箇所の
修繕風景をご紹介させて頂きます





止水栓が無い給水管を傷め漏水したとの想定をし、倉庫内で圧着断水機を使い止水後に修繕を行う作業を
進めています 前回は断水機を使い給水管を潰して止水した所までその手順を詳しくご紹介しました
今回は破損箇所を修繕しましょう

前回の作業手順はこちらです是非ご覧下さい 【 圧着断水機の使い方 】





今回使用している手動式の圧着断水機です これには油圧式も有りますが効果は同じです
この道具をカウサーと呼ぶ事も有ります






この道具を使うにはネジを締める工具が必要です 前回は
ラチェットレンチを使いこの様に給水管を潰し水を止める
処まで作業を進めています






今回は 20mm の給水管 HIVP の×印の部分が破損し漏水し
パイプ内の水は矢印方向へ流れていると言う想定です
それをこの材料を使い修理を進めます



では・・



ここから前回の続きを始めます 圧着断水機でパイプ内の止水は
完了しています パイプカッターを使い破損箇所をカットします






予定していた所でパイプを切り 右側を新しい材料に交換します








給水管の切り口はパイプリーマーを使い 内外径の面取りを行います
これは絶対に必要な作業では有りませんが一手間掛けた方が良いと思います




給水管の切り口にリーマーを使います






これは面取り前と完了後です 20mm 程度のパイプなら面を取らなくても
継ぎ手に差し込めますが、管径が大きくなると面取りをしないと継ぎ手の
奥までパイプが入りません 特に外側は大切です



 
MCユニオンです これを切ったパイプに仮差しします




ナットは外さなくてもパイプに差せますが樹脂製の抜け止めが
変形する事も有るので余裕が有るなら 一旦分解した方が良いでしょう






この様にパイプに挿入し 断水機の方まで送っておきます




切り取った破損箇所に新しい継ぎ手とパイプを使い修繕します






パイプにソケットの入り代をマーキングします 20mm の給水管は
入り代は 35mm そこと 20mm 逃げた所に確認ラインを罫書きます






修理側の新しいパイプも面取りをし同様にマーキングをしました






いよいよ接着剤を使いパイプを接続して行きます
使っているのは HIVP 用で白く着色された白糊です
この色で接着剤の塗り忘れを目視で確認出来ます






接着剤を使う時、パイプと継ぎ手が濡れていてはいけません
必ず乾いたウエス等で水分と汚れは拭き取っておきます

接着剤の塗り方はマニュアルでは色々と書かれていますが
私は体験的に継ぎ手、パイプ共やや多めに塗ります






接着剤が塗り終わると時間を置かず継ぎ手にパイプを差込み
一気に奥まで押し込みます 接着剤は潤滑剤の役目も兼ねています

ここで直ぐに手を離すとパイプが抜けて来ます これは継ぎ手の内部が
テーパーになっておりパイプが押し出されます パイプを押し込んだまま
手に力を入れ 20秒程度保持します 接着剤が有る程度乾くと大丈夫です




修繕側の新しいパイプにソケットを差し込みました
先程マーキングした所までパイプが入っています OK です






続いて既設管側にも同様に接着剤を塗りソケットを差し込みます






パイプに継ぎ手を入れる時にパイプは回すなとマニュアルには書かれています
しかしこれも体験的にほんの少し捻りそれを戻す動きを加えた方が 継ぎ手の
接着は確実に行えると思います ほんの僅かな動作です






入り代をマーキングしておく事で目視と共にスケールで
間違いなく差し込まれているか確認する事が出来ます

この太さのパイプは、継ぎ手にパイプが奥まで差し込まれているかは
とても大切な事です パイプが太くなると奥まで入らない事が有りますが
それが許容範囲か判断する為にもマーキングは大切です




これで漏水箇所の修繕が終わりました 最後の接着から
接着剤が乾くまで最低 15分放置します






時間を置き接着したパイプと継ぎ手が抜けなくなったら
断水機で押し潰したパイプを元に戻し水を通します




ラチェットレンチで圧着断水機のネジを緩めます ※ 正ネジです






断水機を開放しました これだけパイプが変形し強度も
落ちています、出来るだけ丁寧に作業は進めます








断水機を外しました 何時破損してもおかしくない形状をしています
これからこの変形した給水管を元の形に戻します






断水機の方向を変えセットします 潰れたパイプを横から挟みます






ラチェットレンチでネジをゆっくり締めて行きます






ネジを回し断水機で挟み込み パイプの形状が丸くなる様に
場所も変えながら何度か作業を繰り返します






給水管をほぼ円形に戻しました あまり突起が有るのは良く有りませんが
この次にここへ装着する MC ユニオンが通れば結構です




断水機の右側に仮入れしていたユニオンを 潰したパイプの所へ
移動します






ネジを分解し 各パーツを整形したパイプの左側まで移動させます
この時にパーツが移動出来なければもう一度整形の必要が有ります
移動出来れば OK です




MCユニオンの本体を整形した部分を中心にして被せます
これの目的は 潰した部分が、もし破損した時の為の補足管です
圧着断水機を使った時には必要です






MCユニオンのネジを締め込み固定します この作業でパッキンが
パイプを締め付け、パイプが破損した時でも漏水を抑えます






本体をレンチで保持しネジにはプライヤーを使います
道具の選択は何を使っても結構です






ネジは正ネジです 左右のネジを締め込めば完了です
これで一連の作業が終わりました




今回の圧着断水機は設備の本職でも使った事が無い人も
多くいらっしゃるかと思います 出来るだけ丁寧に作業手順を
紹介させて頂いたつもりです お役にたったでしょうか 





今回の作業は 2回に分けて紹介させて頂きました 本職で無い一般の方達にも
こんな方法が有るんだと面白く読んで頂ければ幸いです 長い記事にお付き合い頂き
有難うございました

前回の作業 【 圧着断水機の使い方 】

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圧着断水機の使い方

2019-11-09 20:01:27 | 設備 水道工事
設備工事や修繕をする時に止水栓やバルブが無くて水が止めれない事が有ります
その様な時に圧着断水機を使い止水する方法が有ります 水道工事の専用道具ですが
この断水機の使い方を写真を使い詳しくご紹介させて頂きます





これが手動式の圧着断水機です 油圧式の物が良く使われますが作業手順は同じです
今回はこの道具を使い擬似作業を行いましょう






この道具が入っていた箱ですが (株)エコー精機と言う会社の
ポリスターと言う商品で品番は PEH-30 実勢価格 20000円程度です

これの油圧式は安くても 60000円以上するので使用頻度が低いと
中々買えないですね








どの様な物か見てみましょう 工具のネジを回す事で
パイプを銜える部分が開閉し、ここでパイプを挟み
パイプを押し潰します 圧着断水機をカウサーと
呼ぶ事も有ります




この工具を使う場合は先程のネジを回す道具が必要です






これはラチェット機能を備えたモンキーレンチです






こちらは両口ラチェットレンチで 24mm の方を使います
圧着機を使う時は土の中や狭くて作業条件の悪い所が多いので
ラチェット機能は有った方が良いと思います






今回はこの紺色の給水管を傷め漏水した事を想定し
模擬作業を行います






給水管は HIVP と呼ばれる塩化ビニール製で サイズの呼び径が
20mm の物を用意しました 外径は約26mm です






今回はこの水道管内部には 左から右へと矢印方向に水が押しています
×印を付けた部分が傷みそこから漏水しています

しかし水を止める為のバルブや止水栓が無い為 圧着断水機を使い
止水をしてから修繕をすると言う想定です





今回の修繕には断水機の他にこれだけの道具と材料が必要です この後でそれぞれを
説明して行きましょう




まず給水パイプ用の接着剤です 2種類有りますが
使うのはどちらか片方です






エスロンと言うのはメーカーのブランド名ですが、こちらは
一般的に使われている HIVP 用で透明のタイプです






こちらは用途は同じですが 接着剤に白い色が付いています
私は白糊と言っていますが、接着剤の塗り忘れを目視で防ぐ為に
使います 今回はこちらを使いましょう






これは修繕に使う為の水道管と継ぎ手です 継ぎ手はソケットだけ
使いましょう 先程のパイプとメーカーが違いますが、これは問題有りません 

接着剤についても、他のメーカーの物を使って不具合が有ったと言う
話しは聞いた事が有りません 経験上大丈夫です 
しかしこれは私が強く保証するものでは有りませんから、ご心配な方は
メーカーを揃えられると良いですね






そしてこれは普段あまり使わない継ぎ手ですが MCユニオンです
圧着断水機を使った部分に補強管として使います




そして工具類です






では圧着断水機を使う場所を決める為にマーキングをしてみましょう
実際漏水現場でマーキングは出来ませんが ここで必要寸法を
見て頂きます




まず止水後パイプをカットする部分です




カットした所には継ぎ手のソケットを使い その左側には
MC ユニオンを仮差しします ユニオンの左端にマーキングをしました
断水機を使うのはこのユニオンの左側です






MC ユニオンの構造を見ておきましょう 左からナット、樹脂製の抜け止め
黒いゴム質のパッキン、ユニオン本体(筒です)、右側も左と同じです
ナットを締め込む事でパッキンが潰されユニオンが固定されます




ユニオンの左端から ×印の破損箇所まで 210mm 程度有ります
圧着断水機を使う場合、破損箇所から最低これだけの寸法が必要です




今回は余裕を持ってマーカーペンが示す部分で断水機を使います








断水機のネジを緩め圧着部を開きパイプに装着します
パイプに対して断水機が直角になっている事を確認しながら
ネジを締めて断水機を安定させます






パイプを持ち上げ今の状況を見て頂きます 道具が正しく
セットされています
実際には土を掘った穴の中や漏水で池の様になった状態で
する事もあるので この辺りは自分の感覚に頼る事も良く有ります








ここからラチェットレンチを使いパイプを潰して行きます




断水機のハンドルを持ちレンチを使いネジを締め込みます






止水が出来る途中のパイプの様子です 断水機で少しずつ
パイプが潰されて行きます






さらに締め込む事を続け ネジが動かなくなるまで締め込みました
力加減は、目一杯です




パイプがここまで潰れました HIVP はこの状態でもまず割れません
ただ極端に気温が低い時や パイプが日焼け等で劣化している物は
割れる事も覚悟しながら作業を進めています





ここまでが水を止める為の作業です 止水方法は圧着だけでは無く他の方法も有ります
その時の状況に応じてその方法を選びますが、圧着断水機を使うのが比較的自分が濡れなくて
済む方法でしょうか

記事が長くなって来ました止水だけが仕事では有りません この後の手順は次回にさせて頂きます
この道具を使い完了させるまでに大切な事も有ります、その辺は次回にご覧頂けます どうぞお付き合い下さい

この後の修繕方法 【 断水機を使い 漏水修繕 】 是非ご覧下さい

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両口ラチェットレンチ Super Tool 19×24mm

2019-11-08 20:04:07 | 色々な道具
ラチェットレンチと呼ばれる工具は色々と有りますが、今回ご紹介させて頂くのは
表裏で違うサイズのレンチが使える両口ラチェットレンチと呼ばれる物です 
SUPER TOOL スーパーツールと言う会社の商品ですが、どうぞご覧下さい





特に自転車用と言う物では有りません 建築業では良く見掛ける工具です
薄型両口ラチェットレンチ、総磨き、曲りしの付き、ショートタイプ、とメーカーでは
紹介しています
足場の組み立てや解体 大工工事のアンカーボルトの締め付け等 その用途に依って
色々なサイズが用意されています





スーパーツールは大阪府堺市に本社を置く老舗メーカーで
創業は 1918年だそうです






ここが工具の要でラチェット機能を持っています
片方が 19mm その裏側が 24mm でこれが両口と言われる所以ですね




工具のお尻側は少し曲げてあり先が尖っています
これをシノと言いますが 番線と言うハリガネを縛る時に使います
ただ建築業でもシノは使った事が無い人も多く居ると思います






品番は SRB1924RZ
シールを剥がしました




シールの糊が工具に残ったので ペイント薄め液で良く拭き取ります






工具にはリューターで名前を刻んでおきます 同類の工具を
多くの人が持っているので人の物と間違わない様にしています





出荷時には当然油脂は塗布されていると思いますが 新たにオイルを駆動部に注しておきます
使うのは自転車整備に使うフッ素系のオイル ヴィプロスのグレザージュです 






容器を良く振り内部を攪拌してから使います
この様な工具には少し勿体無い高級なオイルです






特にこの様な回転部分やラチェット機構に注油します






工具にワックスを掛けます 良く美装や手入れをしますが
注油はともかく流石にワックスは最初だけですね
ワコーズのシェイクワックス カルナバロウが使われています






これも容器を良く振り攪拌してから使います






ワックスを掛け 新品購入時の手入れが一通り終わりました
新しい工具を買った時にはこの様な事を良くしています
これで工具の構造が解り新たに気付く事も有り結構面白い時間です




この工具を自転車整備に使えるのかと 頭が六角の工具を
出してみました カセットフリーのロックリング、シングルフリーや
ボスフリーに使う工具です








全て試してみましたが 24mm のソケットに合うのは
これだけでした 19mm の方は何も入りません








使えた工具は シマノのカセットスプロケットのロックリングに使う
シマノの純正工具 SHIMANO TL-LR15 同じ用途の Park Tool の物は
頭がもう少し大きいですね






ただこの工具を使う時は 250か300 のモンキーレンチを使っているので
あえてラチェットレンチを使う必要は無いですね





当初から自転車整備に使う為に用意した物ではないので仕事用の道具箱に忍ばせておきます
実際このサイズのラチェットレンチは私の場合 5年に一度使うか使わないかです
しかし 5年や10年に一度であっても使う事が有るなら 必要な工具と言う事です 
仕事用ではこの様な工具が幾つも有ります これをどの様な時に使うのかまた
ご紹介させて頂きます

 
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