三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

五木寛之・帯津良一『健康問答』2

2010年11月15日 | 

帯津良一氏は手かざしによる治療も行っている。
帯津「私は五年間、イギリスのスピリチュアル・ヒーリング、手かざし療法ですけれど、それの研修ツアーをつくって行っていました」
五木「ほう。いわゆるハンド・パワーですか」
帯津「ええ。イギリスの手かざしは、宇宙の根源からエネルギーをもらって、患者さんの体内に送りこむというものです。ある一定のトレーニングを修了すると、だれにでも施療者として開業できるんです。しかも病院のなかに設置されていれば、健康保険もきくんです」
五木「それは進んでいますね。さすが、心霊研究の中心地だな」
帯津「ええ。さすがは大英帝国と感心しました」
ここらもすごい会話である。
心霊学なんてコナン・ドイルの時代の話かと思ってた。
スピリチュアル・ヒーリングレイキは同じものか、手かざしで病気を治す宗教とはどう違うのか、不勉強なのでわからない。
崇教真光の教えでは、手かざしで病気治しがなぜ可能なのかというと、
「手のひらから高次元の真の光を放射し、一切を浄め、あらゆる悩みや問題を解消していく」からである。
「宇宙の根源からのエネルギー」と「高次元の真の光」は似てるように思うのだが。

気について。
五木寛之氏が「私は、できるだけ病院に近づきたくない」と言うと、帯津良一氏は「五木さんがおっしゃるように、なかには、悪い気が流れている病院がありますから(笑)」と受け、そしてこう言う。
「人間を肉体の塊、物質のようにあつかって治療をすると、魂の部分が大変辛い思いをし、それが、暗い怨念や怒りとなって発散され、病院内にこもる。これを五木さんは、悪い気と感じられたんじゃないですか」
この気は単なる雰囲気とは違って、測定できる未知のエネルギーである。
五木寛之氏もこういう考えを持っている。
「その場に漂っている「気」が、癒しの気じゃなければならないと。神社仏閣の多くは、太古から、清浄な強いエネルギーの噴き出す「癒しろ地」だったわけですから、病院もまた、癒しろ地でなければなりませんね。その病院にはいったとたんに、なにか症状が軽くなったり、病気が治癒の方向に向かうような」

帯津良一氏は気は臓器と臓器をつなぐ隙間にあると考えている。
帯津「その隙間には、電線が重層するように、つながりがいっぱいあると、私は仮定したんです」
五木「ネットワークですね」
帯津ネットワークをもっと細かくすると、電磁場の「場」になるんです」
五木「場が大事だと」
帯津「だからやっぱり、体のなかに「命の場」というものがあって、そのエネルギーを、われわれは「命」と呼んでいるんじゃないか。その仮説を打ち立てたころから、だんだんホリスティック医学に傾斜していったんです」
五木「「命の場」が涸れてくると、気が涸れてきて、道教でいうように、生命がなくなる」
帯津「涸れてくるといいますか、「命の場」のエネルギーが低下してくるんです」
二人の息がぴったり合っていて、うらやましいぐらいである。

五木寛之氏の受け答えは絶妙としか言いようがない。
次のやりとりもそう。
五木「ああいうもの(プロポリスなど)は、どの程度、効き目があるんでしょうか」
帯津「人によりますね。やっぱり、科学的証拠というか、エビデンスは乏しいんです」
五木「そうでしょうね」
帯津「まあ、薬ではないから、しようがない。その上の可能性を求めていくしかないけれど、その上というのは、たとえばプロポリスだったら、やっぱり自然界のスピリットがはいっていることでしょう。蜂のスピリットは、花のスピリットですね」
五木「なるほど」
帯津「花のスピリットは大地のスピリット」
五木「そういう風に、理解しなきゃいけないんだな」
帯津「自然のスピリットがはいっているから、捨てがたいものがあるんです」
五木「やっぱり、捨てがたいものがあるんですね。いい話を聞いた」
対談がいい雰囲気で行われたことが伝わってくる。
五木寛之氏の対話術は見習うべきだと思った。

最後に、五木寛之氏の真宗理解について。
「いい方にめぐり合えるというのも、「他力」のはたらきがあって、お会いするときはきっとくるから、黙って待っていようと思っていたんです。そういう、大きなものに身をまかせて、そのエネルギーの流れのなかに自分を自覚するという「他力」の考え方は、いささか我流の他力観ではありますが」
「真宗の思想では往還といいますが、一遍、浄土に往って、浄土にただずっといるわけではなくて、しばらくそこで心を休めて浄化されて、ふたたび菩薩行のために地上へ戻ってくるんだということです」
五木寛之氏の考える他力や往還二回向は真宗スピリチュアル派だと思う。

コメント
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