NAТIONAL GEOGRAPHIC 2012・5

2012-05-04 09:17:11 | 日記

今月号の特集で興味を引いたのは、「よみがえる南北戦争」と「コアラを救え!」だった。
とくに、コアラについてはちょっと驚いた。というか、コアラにあまり興味がなかったせいもあるが、まさか絶滅が心配されるほどの危機にあるとは思っていなかった。
原因は多くの絶滅が心配されている生き物と同じで、人間の存在にある。200年以上も前、ヨーロッパ人がまだ入植していなかったころのオーストラリア東岸部には、南北2500キロにわたつてユーカリの森が広がり、約1000万頭ものコアラが生息していたそうだ。毛皮目当ての乱獲が原因で、生息地の南半分では絶滅寸前、北半分にあたるクイーンズランド州では、わずか数万頭にまで減ってしまったらしい。
現在の生息数の推定値には大きなバラつきがあり、保護団体が4万4000頭、政府当局は30万頭と大きく隔たりがある。この隔たりは、政府はいつでもこういう問題では多く見積りたがるので、当てにはならない。と、憤慨していたら朝日新聞の5月1日夕刊に、「豪州のコアラ、絶滅危惧種に指定」という記事を見つけた。それによれば、豪州東部2州と首都キャンベラでコアラを絶滅危惧種に指定したそうだ。この記事では、すでに8万匹を下回るとの研究もあるという。
間に合ってくれればいいのだが……。


朝はアフリカの歓び

2012-05-03 15:48:40 | 日記

曽野綾子著  文藝春秋刊

著者の言いたいことは良く分かる。日本は世界でも稀な恵まれた国だということ、そして我々はそれにも気付かず自分勝手な不平不満を垂れ続けていること。そして、世界は残酷な現実な事実に横溢していること。それについて、詳述する力は私にはない。それについては、本書を読んでもらうしかない。
ここでは、著者の主催するJOMAS(海外邦人宣教者活動援助後援会)について触れておきたい。この会は集まったお金で出来るだけの援助をする、従って所属する人達は無報酬・手弁当(つまり交通費も、通信費も、電話代も、事務機器も全て参加者の自弁)、そして公的機関や企業からの紐付きの援助は一切受けない、そして援助の結果を現地に行って必ず検証することを旨としている。仏作って魂入れず、は絶対しないということ。
つまり、ボランティアの原点を死守しているのだ。勿論、こうした無報酬の献身的な行為は誰にでも出来るものではない。著者の出身校である聖心女子大学の卒業生で構成されていることも重要な要素かもしれない。しかし、自分の出来る範囲(お金も時間も)で参加するという理念が大事だと思う。無理をすれば、どこかで破綻する。
ボランティア活動をすれば高校や大学で単位を貰えるからする、良いことをしていると評価されたい、という動機とは全く無縁な世界にいる人々の活動なのだ。NGOやNPOが不純だと言っているのではない。そういう精神で活動している姿勢が素晴らしいと言っているのだ。
横道にそれるかも知れないが、私の経験を話す。高校生の頃「砂川闘争」というのがあった。附属の大学生から半ば強制的に動員がかかり、デモをしたことがある。なんと、電車賃、弁当、日当が出た。この闘争に共感したから参加した以上、全て自己負担だと思っていた(若くて、純粋だった)。もうひとつ。赤い羽根の共同募金に狩りだされた時も、そうだつた。動員された生徒数に応じて日赤から教師(現場には参加していない)に、報奨金が支払われていたことが分かり生徒会が連日開かれ、揉めに揉めたことがあった。
つまり、そういうことなのだ。本書は、ボランティアの原点を教えてくれる。

 


女優 岡田茉莉子

2012-05-02 08:04:20 | 日記

岡田茉莉子著  文春文庫

女優の自叙伝というより、夫婦の自叙伝として読んだ。芸能界に疎い私でも女優と映画監督というカップルが何組かあることは知っている。そして、夫である監督の作品に出演している女優がいることも。
その場合、撮影に入る前に、夫婦間で十分な打ち合わせ、あるいは作品に対する意思疎通があるものだと思っていたが、どうもそうでもないらしい。夫婦といえども、各々が独立した職業観、価値観があり、見事に監督の意図どおりの作品に仕上がっていたとしても、それは偶然の一致というか、各々が理解した感性の結果であるらしい(上手く言えないが)。勿論、夫唱婦随のカップルもいるようだが。
世の中には、様々な職業を持った夫婦があるだろうが、例えば検事と裁判官、弁護士と検事といった組み合わせ、編集者と作家の組み合わせの場合はどうなのだろうか? ちょっと分からない。
ただひとつ分かったことは、こうした夫婦の場合、仕事とプライベートを見事に峻別していることである。つまり、相手の仕事には決して関与いない代わりに、プライベートな夫婦関係にあってはまったく別のルールで濃密に過ごしていることだ。ごく平凡な夫婦関係ではそうはいかない。お互いが干渉し過ぎてしまう傾向が多い。これが夫婦喧嘩の原因ではないだろうか。
もうひとつ。岡田茉莉子は1933年生まれだそうだが、記憶力の素晴らしさに驚いた。それが、女優という職業の特性なのかどうか分からないけれども……。
著者の本意とはとんでもなく離れた感想を持ってしまった。