朝はアフリカの歓び

2012-05-03 15:48:40 | 日記

曽野綾子著  文藝春秋刊

著者の言いたいことは良く分かる。日本は世界でも稀な恵まれた国だということ、そして我々はそれにも気付かず自分勝手な不平不満を垂れ続けていること。そして、世界は残酷な現実な事実に横溢していること。それについて、詳述する力は私にはない。それについては、本書を読んでもらうしかない。
ここでは、著者の主催するJOMAS(海外邦人宣教者活動援助後援会)について触れておきたい。この会は集まったお金で出来るだけの援助をする、従って所属する人達は無報酬・手弁当(つまり交通費も、通信費も、電話代も、事務機器も全て参加者の自弁)、そして公的機関や企業からの紐付きの援助は一切受けない、そして援助の結果を現地に行って必ず検証することを旨としている。仏作って魂入れず、は絶対しないということ。
つまり、ボランティアの原点を死守しているのだ。勿論、こうした無報酬の献身的な行為は誰にでも出来るものではない。著者の出身校である聖心女子大学の卒業生で構成されていることも重要な要素かもしれない。しかし、自分の出来る範囲(お金も時間も)で参加するという理念が大事だと思う。無理をすれば、どこかで破綻する。
ボランティア活動をすれば高校や大学で単位を貰えるからする、良いことをしていると評価されたい、という動機とは全く無縁な世界にいる人々の活動なのだ。NGOやNPOが不純だと言っているのではない。そういう精神で活動している姿勢が素晴らしいと言っているのだ。
横道にそれるかも知れないが、私の経験を話す。高校生の頃「砂川闘争」というのがあった。附属の大学生から半ば強制的に動員がかかり、デモをしたことがある。なんと、電車賃、弁当、日当が出た。この闘争に共感したから参加した以上、全て自己負担だと思っていた(若くて、純粋だった)。もうひとつ。赤い羽根の共同募金に狩りだされた時も、そうだつた。動員された生徒数に応じて日赤から教師(現場には参加していない)に、報奨金が支払われていたことが分かり生徒会が連日開かれ、揉めに揉めたことがあった。
つまり、そういうことなのだ。本書は、ボランティアの原点を教えてくれる。