女優 岡田茉莉子

2012-05-02 08:04:20 | 日記

岡田茉莉子著  文春文庫

女優の自叙伝というより、夫婦の自叙伝として読んだ。芸能界に疎い私でも女優と映画監督というカップルが何組かあることは知っている。そして、夫である監督の作品に出演している女優がいることも。
その場合、撮影に入る前に、夫婦間で十分な打ち合わせ、あるいは作品に対する意思疎通があるものだと思っていたが、どうもそうでもないらしい。夫婦といえども、各々が独立した職業観、価値観があり、見事に監督の意図どおりの作品に仕上がっていたとしても、それは偶然の一致というか、各々が理解した感性の結果であるらしい(上手く言えないが)。勿論、夫唱婦随のカップルもいるようだが。
世の中には、様々な職業を持った夫婦があるだろうが、例えば検事と裁判官、弁護士と検事といった組み合わせ、編集者と作家の組み合わせの場合はどうなのだろうか? ちょっと分からない。
ただひとつ分かったことは、こうした夫婦の場合、仕事とプライベートを見事に峻別していることである。つまり、相手の仕事には決して関与いない代わりに、プライベートな夫婦関係にあってはまったく別のルールで濃密に過ごしていることだ。ごく平凡な夫婦関係ではそうはいかない。お互いが干渉し過ぎてしまう傾向が多い。これが夫婦喧嘩の原因ではないだろうか。
もうひとつ。岡田茉莉子は1933年生まれだそうだが、記憶力の素晴らしさに驚いた。それが、女優という職業の特性なのかどうか分からないけれども……。
著者の本意とはとんでもなく離れた感想を持ってしまった。