大特集 空海 花ひらく密教宇宙

2011-07-28 15:15:26 | 日記
夢枕芸術新潮8月号  新潮社刊

密教が日本に伝来したのが9世紀、それから1200年ということもあるのだろう。空海(弘法大師)や密教をテーマに特集した月刊誌が多い。今月も4誌か5誌が出ている。
本誌の特長は、「密教はどこから来たのか」という章が冒頭にあることだろう。全ての雑誌を読んだわけではないが、どちらかというと空海を中心に構成されていて、密教そのものの歴史、その本質に触れたものはなかったように思う(勿論、それなりに書かれているが、総論の域を出ていない)。そもそも、密教がどういうプロセスでどこで誕生したのか、禅宗やその他の仏教とどこが違うのか分からないという不満があったので助かった。
もうひとつは、さすが『芸術新潮』というか、仏像の写真が素晴らしい。見応え十分。
ところで、入唐時代の空海については、夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』をお勧めしたい。密教の理念、空海の師・恵果、その師・不空、空海以前に恵果から灌頂を受けた義明といった人々との人間関係が詳しく活写されている(勿論、フィクションの部分もあるが、夢枕獏は史実はきちんと押さえているので、安心して読める)。ついでに、密教というものがどんな修法をしているのかも垣間見ることができる。

コメントを投稿