平安遷都  シリーズ日本古代史⑤

2011-07-29 14:54:39 | 日記
川尻秋生  岩波新書

シリーズ⑤は平安時代前半(8~10世紀後半)。平安時代はその後の日本の骨格を創った時代と言っていい。なにしろ、平安京は、その後1100年に亘って日本の都であり続けたのだから。桓武天皇が即位して長岡京を都に定めたにも拘らず、なぜわずか15年で平安京に遷都したのか、まずはそこが焦点となるだろう。
次のポイントは、最初の勅撰和歌集として『古今和歌集』が編纂されたことだろう。ここに日本語に漢字主体(官庁の法令や公式文書は依然として漢文が主体だったが)から、平仮名という新しい表記体がうまれた。『源氏物語』『枕草子』誕生の素地が創られたのである。
第3のポイントは「職」の誕生である。家職である。陰陽道の安倍清明を挙げれば十分だろう。要するに専門職を持つ家系・集団の誕生である。しかし、この過程で武士集団(源氏・平氏)が生まれたのは、歴史の皮肉と言わなければならない。平安時代は約400年続くが、その後朝廷が国政の主体であることはなかった。この辺を押さえて読むと面白い。
ただ、私の勉強不足かもしれないが、平安時代は「古代」だったろうか。まっ、次の最終巻で分かるだろうが。

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