建築する動物たち -ビーバーの水上邸宅からシロアリの超高層ビルまでー

2011-07-25 15:12:37 | 日記
マイク・ハンセル著  青土社刊

「生態工学」という言葉をご存知だろうか。タイトルやサブタイトルで見当がつくように、生き物が巣や罠などを作る行動を研究する分野らしい。「動物行動学」の一分野らしいが、まだまだ研究の余地が沢山ある分野だそうだ。どおりで、養老孟司先生が「絶賛」している訳が分かった。
例えば、クモの巣は見馴れているが、あの複雑な紋様を作るにはそれなりの知能が必要に思われる。あなたならば、どこから始めます? シロアリの塚は時に6メートルを超すものもあり、何百万ものシロアリが住んでいる。ミツバチやアリの巣も複雑で、人間でもそう簡単には作れそうにない。
しかし、著者の結論は「これらを作るのに緻密な脳は必要なかった。これらの行動は全て遺伝子にインプットされていた」と言うのである。勿論、それらがそれぞれの遺伝子の何処に存在しているかは、これからの研究を待たなければならないが、著者はさまざまな傍証からこれを立証している。
虫好き、いや魚でも鳥でも生き物が好きな人には堪らなく面白い本。どころか、素人でもすぐにでも手を付けられるようなテーマが沢山ある。もしかしたら、あなたが新しい学説を発表できるチャンスがあるかもしれませんよ。

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