ニギハヤヒ -『先代旧事本紀』から探る物部氏の祖神ー

2012-06-11 14:44:11 | 日記

戸矢 学著   河出書房新社刊

本書は日本の神話時代に興味を持っている人には、面白い本かも知れない。但し、このジャンルの本は、気をつけて読む必要がある。
というのも、自説を強調するために膨大な例証が挙げられているのが普通だが、大半は著者独自の解釈に基づいていて、万人が納得できるものではない事例が多すぎるのだ。一読すると納得できる話も、普遍化しようとすると齟齬を来たすことが多いのだ。そして、その釈明にはちょっとした間違いもしくは見解の相違で「基本的に私の主張を妨げるものではない」と片付けてしまう。間違っているとは言わないが、まだまだ多くの検証が必要なものがおおい。
ところで、タイトルのニギハヤヒとは神武と同じ「天神の子」で、神武がヤマトに入った時すでに統治者であった。両者ともアマテラスの御璽を持っていた。しかも、戦闘は互角でニギハヤヒが負けたとは記されていない(『古事記』『日本書紀』)。つまり、神武はその地位を禅譲されたことになる。ということは、神武は初代の天皇ではなく二代目? これが本書のメインテーマであるる。古代史のSFとして読むには面白いと思いませんか。


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