猛女とよばれた淑女  -祖母・齋藤輝子の生き方ー

2011-12-06 09:55:43 | 日記
斎藤由香著  新潮文庫

著者は斎藤茂吉の孫娘、北杜夫(斎藤宗吉)の娘。主人公の輝子さんは茂吉の奥さん。
一族の中で斎藤茂吉を大学の卒業論文のテーマにしたのは、著者ひとりということに不思議な気がした。精神医学の血脈は連綿と受け継がれているのに……。
なにより嬉しいのは、美しい日本語である。もちろん日常で身についたものだろうが、一族すべての人たちが、実に丁寧語を使いこなしている。とても今の我々には使いこなせないのではないだろうか。
本書の内容については、いろいろな書物を読んで知っていることばかりだけれど、家族だから書ける臨場感がこの本の読みどころではないか。読後に誰もが思うのは「明治生まれの女性は強い」ということだろう。齋藤輝子だけではない。無名の人々もそうだつた。私の祖母もそうだつたので、よく分かる。

コメントを投稿