ぼくらはそれでも肉を食う  -人と動物の奇妙な関係ー

2011-06-10 15:50:02 | 日記
ハロルド・ハーツォグ著  柏書房刊

まず、最初に言いたいのはこの本は、ペットを飼っている人、動物愛護精神から(あるいは他の理由から)菜食主義になった人、狩猟を趣味としている人、といった人たちにぜひ読んで欲しい。とくにペットを飼っている人に。と言って身構えては欲しくない。別に著者は、喧嘩を吹っ掛けているいるわけではない。例えば、ペットを安楽死させねばならない事態になれば、飼い主は悩みに悩むだろう。そんな時、他の人々はどう考えているか、あるいはどう考えるのがいいのかを教えてくれる。
著者は「人類動物学」分野の第一人者。耳馴れないジャンルだが、ここ20年ほど前に誕生した分野らしい。人と動物、特に動物愛護と言う思想が最近話題をよんでいる。イルカ殺しは可哀そう、クジラを食べるなんて野蛮だ、という非難が日本に向けて集中している。日本人にしてみれば、遊びで狐狩りしたり、アフリカのサバンナでシマウマやオカピをハンティングしている人たちから、そんなこと言われても首を傾げざるを得ない、というのが本音ではないだろうか。
人類動物学とは、こうした人と動物の関係について研究する学問らしい。動物実験に使われる動物に関しては、研究者も悩んでいるそうだ。それに、宗教も絡んでくる。殺していい動物、いけない動物。かと思うと「動物介在療法」というのが盛んだが、それに利用されているイルカや犬、猫、馬といった動物は人間の犠牲になっているのではないか。
というわけで、動物好きな人ならば思い当ること、それは違うだろう、などと半畳をいれながら楽しく読める本。なかには、「ベジタリアンは、魚は動物ではないと思っている」(アメリカの話)なんて面白い話も出ています。

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