インパラの朝  -ユーラシア・アフリカ大陸 684日ー

2011-06-08 09:32:32 | 日記
中村亜希著  集英社刊

本書は、第七回開高健ノンフィクション受賞作を加筆・改題したもの。タイトル通り約2年かけて、ユーラシアとアフリカ大陸の国々47ヵ国を旅した女性の記録である。
そのタフさと度胸は男顔負けである。もうひとつ、この旅が可能だったのは彼女がカルフォルニア大学アーバイン校に留学していたことだろう。つまり、英会話が堪能だった。実際、現地語が分からなくても、どこからか英語の分かる人が現れ、片言ながら話が成立するのだ。
ただ、300ページでは十分書ききれていない、という感じがした。端折られた部分に、どうしてそう感じたの? その後、どうなったの? という不満が残るのがもどかしい。そうした点を除けば、十分楽しめる。
著者も何度か触れているように、我々は世界の国々に対してあまりにもステレオタイプな知識しか持っていない。それが、その国の人々を本当に理解できない原因なのだ。貧困とか、支援とか、開発といった単語が、現地の人々にとってどういうことを意味するのか、彼女の旅はこれらに対する答えを捜す旅だったようだ。

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