われらの獲物は、一滴の光  開高 健

2012-05-16 08:25:22 | 日記

矢沢永一・山野博史 編  KKロングセラーズ刊

『開高健全集』『一言半句の戦場』から洩れている、彼のエッセイ18編を含む65編を集めたエッセイ集。
相変わらずの開高節を久しぶりに楽しんだ。開高健のエッセイの特長のひとつに、例えば水の旨さ、海の色、食い物の味といったものを表現するのに、二字熟語、三字熟語、四字熟語を速射砲のように連発する癖がある。たとえばチャップリンを「天才。ユダヤ人。女たらし。ケチンボ。偽善者。冷血漢。コミュニスト。センチメンタル・ヒューマニスト。売国奴。アナキスト。一人も友人を作れない男」といった具合に。
どんな単語だったか憶えていないが、どう読むのだろう?  こんな熟語あった? と思って、手元にある漢和辞典、国語辞典、挙句に重さ2キロぐらいある辞典を図書館で調べたことがある。そんな単語なかった! 思案の果てに納得したのは、彼の造語ではなかったか、ということだった。それにしても、その漢字の字面といい、ニュアンスといい、音節といい、十分納得、首肯できるものだった。
ところで、本書に収録されている単行本初収録のエッセイは18編。短文・長文、インタビューさまざまあるけれど、十分楽しめる。
最後に、開高健は良い年で亡くなった。「惜しまれつつ、死ぬ」。それが彼のモットーではなかったか! それにしても月日の経つのは早い。

 

 

 


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