鷹匠の技とこころ -鷹狩文化と諏訪流放鷹術ー

2011-11-20 15:40:13 | 日記
諏訪流鷹匠 大塚紀子

本書は女性鷹匠と鷹の心温まる交流を書いた本、ではない(私はそう期待して買った!)。
本書は、鷹(一部ハヤブサ)が狩を出来るまでに調教する技術書である。肩書きで分かるように著者は現役の鷹匠である。師匠の諏訪流代十七代鷹師・田籠善次郎氏から許しを得て、秘伝書を見せて貰い敢えてその放鷹術を公開したもの。
読後の感想。とても遊び出来るものではない。特に鷹を一人前にするまでの飼育・訓練は片手間にやれるようなものではない。そして、狩が出来るようになってからも、その技を忘れさせないために、一日に三時間以上獲物がいそうな里山を歩き、放鷹しなければならない。しかも、「人鷹一体」となるには絶え間なく鷹へ愛情を注ぐ。単にペットを飼うということとは次元が違う。
日本の伝統技術にありがちな女性拒否をしない師匠に巡り合えたことも幸いしたのだろう。そして、家族の理解がなければ絶対実現しなかった筈だ。彼女にあったのは時間と体力ぐらいだったからだ(因みに彼女は現在早大大学院スポーツ科学研究科博士課程在籍中)。しかし、学生と言えどもこうした毎日を送ることは、並大抵のことではないだろう。それもこれも、伝統文化を継承し、それを日本に根付かせたいと言う情熱があればこそなのだろう。私が期待した内容の本は、後日を待つことにしよう。

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