海の向こうに本を届ける -著作権輸出への道ー

2011-11-15 15:15:54 | 日記
栗田明子著  晶文社刊

本書を読んで痛感したことが、二点ある。
ひとつは、どんなことでもそうなのだが、パイオニアというのは大変な苦労をするものだということである。まして今から四十年以上前の日本で、しかも女性の身で……。
もうひとつ、むしろこちらの方が重要だと思うのだが、日本は日本文化をアッピールする努力を長い間怠ってきたということである。今だに日本と言えば世界では「芸者、浮世絵、サムライ」のイメージを持っている人が多い。「ホンダ、ソニー、カメラ」に変わったのはここ二十年くらいだろう。
確かに、明治以降日本は西洋の文化の取り込みに熱心だった。そのお陰で今の日本がある。しかし、日本の文化を発信することには疎かだった。一方、西洋諸国はいろいろな事情、目的はあったにせよ、アッピールする努力をしてきた。しかも、政府が率先してだ。ここに、この本の読みどころがある。この業界に対する知識はある程度持っていたが、草創期の話は初めて読んだ。
著者は1981年、日本の著作物を海外出版社に仲介する会社を設立、1984年に同社を発展的に解消して㈱日本著作権輸出センターを設立し、2007年に社長を退任、現在は相談役。

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