異貌の人びと ー日常に隠された被差別を巡るー

2012-09-04 15:09:48 | 日記

上原善宏著  河出書房新社刊

被差別の人びとを扱った本としては、視点がユニークで評価していいと思う(スペイン・バスク地方のカゴ、ネパールのマオイスト、イタリア・コルシカのマフィア、パレスチナ、イラク・バグダットのロマ、ロシア・サハリンのウィルタ人)。、但し、浅い(あとがきによれば、殆どが二十代の頃のものを収録したそうだから、若書きも仕方ないか。現在39歳)。
ただ、気になることがある。著者が「路地(地区)」出身だどいうことが文中でくどいほど出てくるのが目障りだ。
しかし、これは著者の責任というよりも、編集者の責任だろう。本書は書き下ろしではなく、再録なのだから、手を入れる時間は十分あった筈。各章のこの手の文章はすべて割愛して、「前書き」か「後書き」にまとめるべきだった。そのような構成ならば、著者の執筆動機がもっと鮮明に表出したのではないか? あまりにも何度も出てくるので途中から読み飛ばしたくらいだ。総じて、最近の編集者はレベルが落ちた、という印象を新たにした。


コメントを投稿