職業は武装解除

2011-11-12 15:26:46 | 日記
瀬谷ルミ子著  朝日新聞出版刊

読後の第一印象を正直に言うと「この方は日本の女性の中で、武器や兵器に一番詳しい女性」なのでは? だった。だつて「武装解除」には必須の知識ではないですか。もちろん自衛隊にもそういう女性はいるだろうと思うけれど、なにしろアフリカの紛争地帯で現実に携わったのだから。凄い女性が居るものだと思いました。
著者はNPO、外務省、国連で、アフリカの紛争地帯でその職務に就き、現在はNPO法人・日本紛争予防センター事務局長。
しかし、紛争地帯に平和を定着させるというのは随分難しいことのようだ。唯、金を出す、物資を提供するではすこしも解決しない。そうだろうと思う。紛争(多大な犠牲を伴う侵略戦争、革命を含めて)というのは、突き詰めて言えば個々人の欲望や思い込み(特に宗教や人種差別)に起因している。ということは、根本的にはマスの集団の心理カウンセラーをするようなものなのだろう。考えただけで、気が遠くなる。
ところで、本文中に「紛争、侵略に無関係な日本の」NPOだから地元民に信用された、という記述がある。一方、「顔が見えない援助国・日本」というフレーズもよく耳にする。この隙間に、日本の出番があるように思う。
但し、彼女も言っているように「助けてあげる、援助してあげる、お金は出す」では人々や国が平和を享受できるわけではない。まずは、NPOや関係部署で働く人を訓練することが遠回りだけれど、一番確実な方法なのだろう。
世の中には素晴らしい人がいるのですね。それもグローバルで活躍している人が。日本という国も捨てたモンじゃない。最近の政治家の質の悪さを別にすれば……。

追記 著者は英ブラッドフォード大学紛争解決学修士課程修了。あるんですネェ。こういう学問を教える大学が。初めて知りました。

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