永江 朗著 筑摩選書
本書は、筑摩書房の倒産から再建を経て、現在に至る、ある意味の「社史」である。
筑摩といえば、私達の世代では綜合雑誌の『展望』ではないだろうか。勿論、スタンスによっては『世界』『思想』(いずれも岩波書店)と、読む対象は違っていたか、併読していた筈である。
筑摩の倒産(1978年)は、大学生や読書人にとっては大事件であったが、その内幕については知る由もなかったが、私はその影響を間接的に受けた。
倒産後に退社して他の出版社に移籍した人たちが多数いたのだが、そのうちの何人かが私の友人がいた出版社に入社してきた。友人の印象では「文学青年もしくはその面影を引きずっている」人たちだったそうだ。「俺はこんな所にいる人間じゃない」「そんな企画、お呼びじゃない」というプライドが高く、どうにも扱いにくい人たちだったという。お陰で、私は嫌気をさした彼のために、ほかの出版社を世話する羽目になったことがあった。
今回、本書を読んでみて筑摩書房が当時持っていた「出版文化というか、土壌」が分かったような気がする。確かに出版界は、著者も言っているようにトレンドが変化しつつあったから、倒産もやむを得ないかと思った。
出版社の倒産というのは、たいして珍しくはないから、その後の再建に至る苦労もよく分かる。よくぞ、再生したものだと思っている。
本書は、筑摩書房の倒産から再建を経て、現在に至る、ある意味の「社史」である。
筑摩といえば、私達の世代では綜合雑誌の『展望』ではないだろうか。勿論、スタンスによっては『世界』『思想』(いずれも岩波書店)と、読む対象は違っていたか、併読していた筈である。
筑摩の倒産(1978年)は、大学生や読書人にとっては大事件であったが、その内幕については知る由もなかったが、私はその影響を間接的に受けた。
倒産後に退社して他の出版社に移籍した人たちが多数いたのだが、そのうちの何人かが私の友人がいた出版社に入社してきた。友人の印象では「文学青年もしくはその面影を引きずっている」人たちだったそうだ。「俺はこんな所にいる人間じゃない」「そんな企画、お呼びじゃない」というプライドが高く、どうにも扱いにくい人たちだったという。お陰で、私は嫌気をさした彼のために、ほかの出版社を世話する羽目になったことがあった。
今回、本書を読んでみて筑摩書房が当時持っていた「出版文化というか、土壌」が分かったような気がする。確かに出版界は、著者も言っているようにトレンドが変化しつつあったから、倒産もやむを得ないかと思った。
出版社の倒産というのは、たいして珍しくはないから、その後の再建に至る苦労もよく分かる。よくぞ、再生したものだと思っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます