危機の指導者 チャーチル

2011-10-19 15:00:19 | 日記
冨田浩司著  新潮選書

著者は韓国日本大使館公使、英国日本大使館公使を勤めた外交官(現在は北米局参事官)。
本書は単なるチャーチル伝ではなく、外交官というプロの目から二つの大戦、特に第二次大戦中のチャーチルの政策、決断力、政治家としての彼の資質を分析した本。これまで日本人が持っていたチャーチルのイメージとは、大分違うことに驚くかもしれない。
ところで、著者も「あとがき」で言っているように、この本は今回の東北を襲った震災と原発事故を意識して書かれた物ではないが、暗に著者が言わんとすることは痛いほど分かる。
チャーチルは危機(戦時)の時の宰相だった。国難時の宰相と言い換えてもいい。その時求められる資質は平時の宰相とは違う。今の日本の現状を見た時、危機に立ち向かえる宰相に相応しい政治家は、残念ながらひとりも居ない(多分)!
第二次大戦の時、英国議会は解散・総選挙を避けた。その結果、議員の任期は10年に及んだと言う。翻って、日本。最大野党の自民党は馬鹿の一つ憶えのように解散・総選挙しか言わない。日本が直面している「危機」を全く認識していない(どんな事情があるのだろう? もしかしたら台所事情だったりして)。総選挙には時間も金もかかるし、被災した県は唯でさえ復興作業に忙しいのに、選挙人名簿を作るのに必要な人も金もないのではないか。もうすぐ冬が来る。時間はない!!
本書で印象に残った言葉を二つ挙げておく。
Action This Day「即日実行」……チャーチル
Don`t fight the problem Decide it「問題と闘うな。決断しろ」……アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル(米国でチャーチルの役割を果たした)

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