農耕社会の成立  シリーズ日本古代史①

2011-05-10 08:11:39 | 日記
石川日出志著  岩波新書

やはりこれだけの時間が必要だったということか。皇国史観から脱却できたこと(まだ尾を引きずっている大臣もいたが…)、もうひとつは、縄文人に取って代わって弥生人が出現した(日本人騎馬民族説が、その最悪のものだが…)という固定観念が修正されたことについてである。
途中、化石捏造事件という忌まわしい事件(もつとも、こうした事件は世界中で珍しいことではない。ピルトダウン事件はその代表例)があり、そのための検証に十数年かかったことは惜しまれることではあったが…。
ところで、本書だが、全6巻ですでに3巻まで出ている。1巻を読了したところだが、新しい視点で書かれているように思える。
従来の考古学では、東北地方は遅れた地方、もっと極端に言えば東北人イコール縄文人、そしてそれらの人々に取って代わったのが弥生人、つまり現日本人という定説?があった。著者は、東北地方の遺跡を丹念に調べて、それが根拠のない仮説にすぎないことを主張している。それを助けたのは、近年開発された年代測定法と、ここ十年で発掘された数々の遺跡である。豊富なデータがこの説を裏付けている。
やはり、こうしたジャンルは最新のデータに基づいたもので読むに限ることを痛感した次第。

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