けさくしゃ

2012-12-15 08:58:15 | 日記

畠中 恵著   新潮社刊

「けさくしゃ」、つまり戯作者のことである。主人公は柳亭種彦。本名は高屋彦四郎知久という二百俵取りの旗本。代表作は『にせ紫田舎源氏』、『邯鄲諸国物語』。この人、戯作名が多い。にせ紫楼・愛雀軒・足薪翁などがある。本書ではデビュー時に夏乃東雲を名乗っている。なぜ複数の戯作名を持っているのかは、本書を読めば分かる。
軽く読めて、同時に江戸後期の出版界のシステムが分かる構成になっている。ただ、小説としては物足りない。登場人物を十分に活かしきっていないし、柳亭種彦という人物を深くは書ききっていない。まっ、この作者の持ち味なのかもしれないが。


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