社会のなかに潜む毒物

2012-12-08 09:17:18 | 日記

Anthony T・Тu 編著<科学のとびら51>  東京化学同人刊

少し難しい本かも知れない。しかし、「日常生活に潜む毒物」(第一章)というタイトルの細目のなかにダイエット薬、解熱鎮痛剤、バイアグラ、プラスチックボトルウォーター、シックハウス、有機リン酸系農薬といった項目をみるとエッと驚いて読みたくなるのではないか。
これらの中には健康食品として売られているものが多いが、それは「薬」として広告できないからだ。勿論、中には確かに効くものもある。しかし、長く服用したり、大量に摂った場合、身体に悪影響を与えるものが多いことも知っておくべきである。また、サプリメントとして流行のコラーゲンのように化学的には有効のように思われるものも、実は身体を素通りして排出されてしまうものもある。
こうしたことを納得するには、本書に掲載されている化学構造式が役に立つ。大抵の読者は化学式は苦手だと思うが、例えばダイエット薬の中には覚醒剤と全く同じ成分に身体に影響のない余分な分子が一つか二つ付いただけのものがあったりする。一度、億劫がらずに化学式を見てみて欲しい。
大抵のこの手のものは、効いたのではなくいわゆるプラシーボ効果(偽薬)、つまり心理的なもので、多くは広告や無責任な口コミによるものだということを肝に銘じておくべきである。


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