最後の晩餐  -死ぬまえに食べておきたいものは?ー

2011-08-10 08:09:45 | 日記
宇田川悟著  晶文社刊

「最後の晩餐」というと、著者も挙げている1973年に公開された仏伊合作映画「最後の晩餐」を私も思い出す。当時の日本人には思い付くことも出来ない主題といい、エロチックなシーンが印象的だった。もうひとつ記憶にあるのは開高健の同名のエッセイである。あの饒舌で、関西人特有の執着さに辟易しながらも、美味しい・旨いということを文字にするには、これほどの博識をもってしても完璧ではないことを教えられた。
さて、本書である。タイトルをテーマに島田雅彦・奥本大三郎・猪瀬直樹・荻野アンナ・南部靖之・磯村尚徳・小山薫堂・山本容子・西浦みどり・羽仁進・逢坂剛・岸朝子・田崎真也・辻芳樹・千住明・楠田枝里子の16人にインタビューしたものである。各々専門とするジャンルは違うが、その人たちの個性が出ていて面白い。
結論。「食」を語ることとは本人の生い立ち、人生の超し方を語ることに他ならない。
翻って、わたしの「最後の晩餐」を挙げようとすると、母の手作りの惣菜に始まり、その時々の様々な「食」との出会いに思いを馳せざるを得ない。それはそのまま、己の人生を振り返ることでもあるのだ。
本書は面白い本というものではない。時々同感!と納得しながら、その「食」との出会いを思い出し、なんともほろ苦い思いが交錯する。

コメントを投稿