市川中車  -46歳の新参者-

2013-06-02 15:53:09 | 日記

香川照之著   講談社刊

歌舞伎役者に46歳でなれるとは思わなかった。確かに、映像の世界では日本アカデミー賞を始め数々の賞を貰った人なので、演劇に関してずぶの素人だとは言えないだろうが、なにしろ歌舞伎である。そう簡単になれるものではないだろう。しかし、見事に初舞台を勤めたのである。私も劇評を読んだが、好演だったという。月並だが、やはり血筋なのだろうか、それとも俳優としての蓄積なのだろうか。素人には分からない。
ただ、決断した歳が46歳だったというのがギリギリの歳だったのは確かだ(本人の弁)。30代ではプライドが許さないだろうし、50代では身体も頭もついていけなかったかもしれない。先輩・後輩のアドバイスを素直に聞ける根性を持続できる歳の限界だっただろうと思う。この先は分からないが……。
しかし、である。読後として、どうも消化不良なのである。決断した動機がいまひとつはっきりしないのだ(家業を自分の代では絶やせない。息子は猿之助の直系だから、とかいろいろ言うが)。喉に棘が刺さったみたいでスッキリしない。勿論、今の彼の立場でなにもかも書くわけにはいかないのは承知しての話だが。これからの活躍に期待したい。


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