字幕の花園

2014-02-18 15:05:05 | 日記

戸田奈津子著   集英社文庫

いきなり、本題から。最近若い人たちは洋画の吹き替え版を好むそうだ。現象的には字幕離れということになる。洋画の楽しみ方が変わったのかな。分からないままに英語・仏語・イタリア語の雰囲気を楽しんだ私達に比べ、ストーリー重視になったということだろうか。著者はいずれ日本語吹き替え版が配信されるのではないかと、心配している。私としてはヘンな日本語でなければいいがと、危惧しているのだが…。バイリンガルの人たちが増えているとはいえ、彼等が日本語に習熟しているとは思えないのだが(最近の、日本語の乱れからしても)。
著者は字幕製作者。私の若い頃は清水俊二(?)だったと記憶しているので、著者の字幕による洋画は沢山は観ていない(バブルのせいで観るヒマがなかった。言い訳だけれど)。しかし、耳に入った英語や仏語と字幕を比べて、そうか、こういう意味、こういう風に翻訳するんだと感激した覚えがある。
そうなのだ。映画は(この場合は洋画だが)、俳優の演技と会話を含めて楽しむものだった。例えば「愛している」という言葉が英語よりイタリア語より、フランス語の方が情感たっぷりだったな、なんて感激は、字幕があってこそだった。これから、どうなるのかな?
書き忘れたけれど、本文ではヒット作品の出演者や撮影の際のエピソードのほかに、作品の中のちょっと素敵だったり、極め付けの台詞が原文と実際の字幕(多分?)で紹介されています。読みどころはここ。実際に応用するヒントを教えてくれています。洒落た英会話をしたい人にはぜひオススメデス。