マリーナ・チャップマン著 駒草出版刊
本書は、誘拐されて南米のコロンビアの密林に捨てられ、ナキガオオマキザルの群れに育てられた女性の物語である。5歳からおそらく10歳前後まで。現在はイギリスに住み、子供3人と孫3人に恵まれた生活を送っている。しかし、彼女が人間社会に復帰してからの生活は凄まじい。ストリートチルドレン、ギャング、売春宿、修道院のお仕置き。
本書を通読しての第一印象は、サルの優しさと、人権を無視し自分達の欲望のままに人を扱う人間の残酷さである。もしかすると、本書のメインテーマはこちらにあるのではないかと思ってしまう。
ぜひ読んで欲しい。野性の生き物の生活と、人間の社会。妙に哀しい気持ちになってしまった。私と同じ感想を持つかどうか分からないけれど、ぜひ読んでみてほしい。