中国台頭の終焉

2013-04-03 09:38:21 | 日記

津上俊哉著   日経プレミアシリーズ

前々から不思議に思っていたのだが、どうやら現在の中国を支配している経済学(それに基づいた経済政策)は、「地球外惑星の経済政策」のようだ。素人でも分かるような矛盾に満ちている。しかも、早晩崩壊しかねない矛盾だ。
たとえば、東南アジアやアフリカでの経済投資は一方通行で、自国の利益誘導にしか目を向けていない。一時的には国富を増加させるだろうが、将来的には自国の製品の購買層を育てていない(地元には金を落としていない。経済投資に参加しているのは中国人民で、潤っているのは賄賂を受け取っている政府要人や地元の有力者だけという記事を読んだことがある)。
というのが一読した私の感想だが、詳しくは本書に譲る。データも豊富で説得力がある。著者の経歴もそれを充分に裏付けている。
心配なのは、中国に進出している日本企業である(本書にも一節を設けてあるので読んで欲しい)。しかも、存続するにしても撤退するにしてもややこしい国である。ただ、分かっていることはてぎるだけ早く将来の方針と対策を立てることだ。巻き添えを喰わない内に。
結局、中国は「2周回遅れの資本主義(と言っていいのかどうか分からないが)の国」なのだ。つい最近、習近平氏は「中国は第二次世界大戦の戦勝国なのだ」とモスクワでスピーチしたが、どうやら「中国は世界一の国」という中華思想は未だ健在のようだ。「GDPで中国が世界ナンバーワンになる日はやって来ない」「5%成長の実現さえ可能性に過ぎない」(いずれもオビのコピー)と危惧されているのに……。