アフリカで誕生した人類が日本人になるまで

2011-06-20 15:49:01 | 日記
溝口優司著   ソフトバンク新書

日本人が何時誕生したのか、そのルーツはといった問題には大抵の人が興味を持っている筈である。かつては騎馬民族説とか、コロボックル説とか、荒唐無稽な説もあったが、さすがに現在ではそれを真に受ける人はいない。
最近のゲノム解析の結果、人類の誕生はアフリカにおいてであり、約700万年かけて地球上に拡散したこと、そして、そのルートもゲノム解析である程度明らかになってきた。しかし、個々の民族、インド人、インカ人、日本人といった人種の起源となると詳しいことははっきりと分かっていない、というのが現状らしい。
著者は大筋の所では、これまで多くの学者の研究成果積極的に取り入れており、違和感はない。本書の白眉は第3章「縄文から現代まで、日本人の旅」であろう。著者の結論をここで書いてしまっては、読む意欲を潰しかねないので、ここでは書かない。
ただ、気をつけたいのは、これまで学校の日本史の授業で習っていた時代区分を忘れることである。最近の古墳の発掘や、ゲノム解析、データ分析の結果、大幅に書き換えられているからだ。
それさえ念頭においておけば、3章はとても楽しめること請け合いです。