ジグザグ山歩き

山歩き、散歩、映画など日々、見たこと、聴いたこと、感じたことなどつれづれに。

小三治の「かんしゃく」

2010-01-21 11:30:15 | 落語
新宿の末広亭に行った。正月興行、ニの席の最終日である。小三治が夜の主任を務めるので、ぎりぎりセーフで、聞くことが出来た。それにしても小三治人気はすごい。平日にもかかわらず、2階席までいっぱいで、小三治が出る頃には、立ち見の人もたくさんいた。私は5時過ぎについて、たまたま椅子席がひとつあいたので、そこに座ることが出来た。小三治が寄席に最初にあがった頃の話をしてくれた。川崎の演芸場で、パチンコ屋の奥に入ったところで、一人しかお客はいなくて、帰ろうとしたので、あわてて出て、話を始めたとのこと。そのお客はずっと週刊誌をみていて、顔を上げなかったらしい。しかも週刊誌は読んでいなかったらしく、さかさまであったという落ちまである。そうした噺をしながら、小三治は、贅沢だけど今日は人が多すぎるといっていた。落語はいまはブームだが全然入らない時もあって、どん底もみているので、そんなことで一喜一憂はしないといったようなことをいっていた。
今回の小三治はの噺は、いつもより笑いをとるのが少ないかなと思って、聞き出していた。それでも観客は何か言うのではないかと期待している。その中で、途中何故か退席があったし、まくらもあちこち話がとんだり、本題に入るための説明がいくつかされていたので、話が途切れたような展開に思えた。しかし、話が全然違うように見えて、後から考えると、本題への伏線であったと思わせるまくらはさすがである。
演目は「かんしゃく」である。作者は、三井物産を設立した益田孝の次男の益田太郎である。「コロッケの歌」という歌を作ったりした人であり、どういう人物であったかも小三治は話をしてくれた。女は家にあっては親に従い、嫁にしては夫に従い、老いては子に従い、昔はこういうことをいっていたが、今はそういう状況ではないとさらりといって、噺にはいる。かんしゃくは他人に小言ばかり云ってる旦那と、妻が実家に帰った時の父の厳しくはあるけれどもぬくもりのある語りが展開される。噺と同じく、大金持ちに生まれた益田太郎冠者が、自分の父親の癇癪ぶりを描いたとも言われている。なかなか噺の展開は難しい演目を小三治だから出来るのかなと思ったりした。
人間はつらい苦しい峠を越さないと「人」になりそこなうという言葉もあったりして、時代や生活は変わっても人間の生き方は考えさせられる。

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2 コメント

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Unknown ( カモシカ)
2010-01-26 20:42:11
小三治にぞっこんですね!
私より詳しくなってますね。
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カモシカさん (つばさ)
2010-01-26 21:42:12
病と闘っている小三治の噺がいつまで聞けるかなと思って、ついつい足を運んでしまいます。ただ、小三治人気がすごくて、人も多すぎなのが難点です。
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