おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

OK牧場の決斗

2023-09-15 07:47:31 | 映画
「OK牧場の決斗」 1957年 アメリカ


監督 ジョン・スタージェス
出演 バート・ランカスター カーク・ダグラス ロンダ・フレミング
   ライル・ベトガー ジョン・アイアランド ジョー・ヴァン・フリート
   リー・ヴァン・クリーフ アール・ホリマン デニス・ホッパー

ストーリー
酒と賭博に身をもちくずした元歯科医ドク・ホリデイ(カーク・ダグラス)はフォート・グリフィンの町で3人組の殺し屋を返り討ちに倒したが、嫌われ者の彼は町民のリンチにかけられようとした。
たまたま町に来たドッジ・シティの保安官ワイアット・アープ(バート・ランカスター)はドクの情婦ケイト(ジョー・ヴァン・フリート)の頼みで、その危機を救った。
ワイアットはドッジ・シティに戻ったが、ワイアットの兄でトゥムストーンの保安官ヴァージルとクラントン一家との確執が激化してきたという報告が入る。
クラントンは殺し屋リンゴー・キッド(ジョン・アイランド)を味方にして機会を狙っていた。
そんなところへドクがケイトを連れてドッジ・シティにきた。
その上、ローラ(ロンダ・フレミング)という女が現れ御法度の賭博を始めるに及んではワイアットも捨てておけず、彼はローラを留置場へ入れたが、彼女に心ひかれワイアットはドクの口添えもあって間もなく釈放した。
ワイアットは、ローラと結婚してカリフォルニアへ行こうと、保安官のバッジを返し旅支度をしていたが、そこへ兄のヴァージルがクラントン一家との危機を告げてきた。
ワイアットはローラを置いてトゥムストーンの町へ向かったが、後にはアリゾナへ行くというドクがついてきた。


寸評
原題は「GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL」である。
CORRALは家畜囲いのことで、けっして牧場などではないのだが、これを牧場として邦題を「OK牧場の決斗」とした当時の宣伝部の功績が讃えられるべき作品だ。
洋画、邦画を問わず、タイトルに決斗あるいは決闘と名がつくだけでワクワクしてしまうのだ。
実際、この作品でもクラントン一家の牧場は別に有り、原題のCORRALとはこのようなところなのだと示してくれているのだが、この作品によってワイアット・アープとOK牧場は切っても切れないものとなったような気がする。
ワイアット・アープは実在の人物なのだが、その正体はいい奴だったとか、案外と悪い奴だったとかの話があり、本国では評価が固まっていないようではあるが、映画で描かれるワイアット・アープは概ね正義の味方である。
そうなると敵役はクラントン一家ということになる。
この作品でもその構図は変わらず、ひねりも、誇張した描き方もない、まったくもって正統派的な西部劇作品だ。

主人公はランカスターのワイアット・アープなのだが、何と言っても目立っているのはドク・ホリデイのカーク・ダグラスで、見方によってはこの映画はドク・ホリデイの映画と言っても良い。
カーク・ダグラスとジョー・ヴァン・フリートのからみがこの映画を支えていた。
今見ると、タイトルバックといい、フランキー・レインの歌う主題歌といい、妙に懐かしさを覚える作品である。
昨今の作品はひねりを効かせたり、裏側を描いたりで、"決斗"などというストレートな題名が似合う作品はとんと見かけなくなった。
邦画における任侠映画や股旅映画にみられるような単純な構図で、この単純さこそ当時の西部劇なのだ。

クラントン一家の末弟に扮しているのが若き日のデニス・ホッパーで、彼のエピソードがこの作品の中では唯一のヒューマンチックなものになっている。
アープ兄弟が兄弟の結束で決斗に向かうのに対し、彼もまた兄弟の絆で決斗に向かう事になる。
不参加を促すワイアット・アープに、自分もクラントン兄弟の一員で、アープ兄弟と同じなのだと告げる。
そう告げられたワイアット・アープも仕方のないことと理解を示す。
やがて決斗の決着が見え始め、クラントン一味で最後に残るのがこの末弟で、アープはこの末弟を撃ちたくはないのだが、宿命はそれを許さない。
彼を射殺するのがワイアット・アープではなくドク・ホリデイなのをせめてもの救いとしている。
息子たちをすべて失ったクラントン家のお母さんの嘆きはどんなだったかなどは問題外である。

正統派の決斗もの西部劇だが全体的な迫力には欠ける。
クラントン一家とアープ兄弟の確執も深く描かれていないので、決斗に向かうとときの”ついに堪忍袋の緒が切れた”といった気分がイマイチ沸かなかったのがそうさせていたのかもしれない。
ドクとリンゴーの関係も描き方としては薄いものがある。
バート・ランカスターとカーク・ダグラスという2大スターを揃えた割には、全体的に重厚感に欠ける作品である。
脚本がイマイチなのかもしれない。